不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

和に悩む

先日、FBのとあるグループに和についての日本人の考えを何気なく投稿したところ、あっという間に700人近くの方から「いいね」を頂き恐縮してます。
善悪よりも和を上位において優先度が高いというようなことで、日本人であれば意識的無意識的に日頃から遵守しているありきたりのことです。

で、問題はここから。
ロシア人同門が稽古のため来日してきました。
正直に言うと開戦直後は彼の投稿には戦争には賛成とおぼしき投稿を幾つかありました。今はそうではないと信じたいところですが。
どの武道道場でも同じだと思いますが、当流道場でも政治や宗教、ビジネスの話は避けられます。特に当流は外国人門下生が多いので一層そういう不文律が強い。

しかし困ったのは彼らとの会話です。
侵略している当事国、しかも連戦負け続けて世界的に孤立している国の国民に
「やあ、お国はどう?」
って訊けないですよね?
それ以外にも微妙な話題を避けたりしているためどうしても会話が弾みません。
実際、前回来たときはほとんど彼らだけで稽古していましたから。
状況的にはどうしてもそうなってしまいます。

こちらから戦争賛成か反対か答えを強要する、踏み絵みたいなことはしたくありませんから必然、みんな戦争には無関心な感じを装って接しています。
いずれにしても相手に対して礼を失するようなことがないよう最大限の努力をしているといった感じです。

もし彼らも戦争反対であればそう主張していると話しやすいのですが、戦争賛成であればかなり雰囲気が悪くなります。どちらが悪いのか今一よく分からない戦争ならともかく、20世紀の侵略戦争ばりの戦争で、しかも戦闘中の所行も凡そ信じがたい蛮行が続発していますので。

ということで私たち日本人(と日本在住外国人)門下生の姿勢は和を尊んでいるのか、単に臭いものにふたをしているのか、一体どちらなのだろうとこの頃悩んでいます。

ちなみに私は結構ロシアに親しいですから割と彼らの声を代弁してますが、さすがにこの戦争については代弁できません。友情を保つ事には変わりありませんが。

戦争とはかくも面倒なモノだと痛感させられています。

令和五年皐月十六日
不動庵 碧洲齋

モスクワから北に500キロのところにあるキリロフ寺院。冬に行った。