不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

ウクライナ侵攻3年目

今年の2月24日でロシアによるウクライナ侵攻が2年となり3年目に突入しました。
正直ここまで長引くとは思いませんでした。
何と言ってもウクライナはロシア民族発祥の地とも言われていますから、親戚のような国です。互いによく知った知人友人家族が住んでいるので、小競り合いはあったとしても、ここまで前世紀的なベタな侵略をよもや国連常任理事国が起こすと思いませんでした。
ソ連崩壊後、普通の国になりつつあったロシアの豊かになりつつあった市民たちがここまで国家を支持するとも思いませんでした。
想像以上にネットの力が国家のプロパガンダに負けるとも思いませんでした。
色々な意味で想像以上の事ばかりでしたが、ここでこの侵略を許してしまったら、ロシア人はもう目覚めない気がします。
また、今や火の車になりつつある中国も国内の不満を国外に吐き出させるために同じようなことを目論んでいるようにも思いますが・・・こちらはもしかしたらすでにそれどころではないかも知れませんが。

今回ネットの力が弱いと思ったのは当事者同士だけの話しではありません。
第三者である他国です。例えば我が国日本。
ロシア人と生で話したことがありますか?ロシアに行ったことがありますか?
どちらか1つでもYESの人というのはとても少ないと思います。
つまりロシアという国は日本だけではありませんが大半の国にとってあまりなじみのない国だと言えます。
つまりあまりなじみのない国の国民がこれらの二国を論じています。
知っていなければ語ってはいけないのかとまでは言いませんが、やはり直接知らない、あるいはネットだけで知ったつもりになっているだけで話すのは恐ろしい気もします。
逆にリアルに両国民を知っている人はもっと発信しましょう。

先の大戦では一体どれ程の日本人がアメリカについて知っていたでしょうか?
また一体どれ程のアメリカ人が日本について知っていたでしょうか?
恐らく想像を下回る数のはずです。そして互いに知らない相手同士で戦いました。
もちろん知っていても今回のウクライナ侵攻のように起こる場合もありますが、無知で戦うのはもっと恐ろしい。
私は幸いにも商用と私用でコロナ禍前までに10回前後ロシアに行きましたし、毎年のように来日したロシア人と交流を持ちました。
なので一般の日本人よりはかなりよくロシア人を知っている方だと思います。

今回衝撃的だったのは、友人らの中には侵略が始まってすぐ、率先して侵略部隊に参加した人が数名いたことです(彼らは元軍人)。中には砲兵部隊の小隊か中隊の指揮官になった人もいるそうです。また、戦場に行かなくとも積極的にプーチンを支持している人がいたことです。本当に吐き気がするほど気分が悪いことでした。これだけネット社会が広くなっているにも拘わらず、国家のプロパガンダの方が圧倒的に強い。いや、国外脱出した人の総数がすでに約400万人に達していて、その平均年齢が40歳にもならないから、インテリジェンスの高い人はネットを見るまでもなく逃げ出しているのかも知れませんが。日本国民のインテリジェンスも対戦車ヘリコプターの低空飛行並みに低いですが、ロシア国民は帝政ロシア、社会主義そして混乱の後のプーチン政権ですから、一般大衆の民主主義レベルたるや目も当てられないレベルです。無知は無知でも嗤っていい類のものではありません。とはいえネットを通じて知ることができる権利を放棄して、国家をより良くするという義務も忘れていますから無罪というわけではありません。

ネットですが、ここ半年はロシアのネット環境も中国並みになってきた気がします。
ロシアの友人がVPNを使っても海外にアクセスするのが難しくなってきたとのこと。最近は殆ど繋がりません。
よく暴動でも起きないものだと思いましたが、基本ロシアは農業国ですから国民は食べられれば忍耐強いのだと思います。
日本国民も30年間平均基本給与があがらないのに黙々と黙って働いて国家権力に盲従するあたり、私が見たところロシア国民とピッタリ国民性が似てます。いや、本当です。

ロシアは国土こそ広いですが、経済力は恐るべき事に韓国とほぼ同等、日本の数分の一です。人口も日本よりも2千万人弱程度多いだけです。現在、そんな国から約400万人が国外脱出して、推定10万人程度の戦死(もっと多いかも)、30-40万人程度が負傷しているそうです。日本だったらちょっと信じがたいレベルの国家的損耗ですが、プーチンは見事にこれを抑えています。独裁権力の力をまざまざと見せつけられた気持ちです。果たしてこれがどこまで維持できるのでしょうか。そしてどういう形であれ10万人の戦死者が分かった時点でロシア国民はどう反応するのか興味があります。

一度狂気の列車を走らせてしまったからもう後には戻れないという感がします。プーチン支持派の民衆も愚かとかではなく、「その後」を考えたくないだけなのかも知れません。普通に考えたら確かに考えたくないのも事実。
今回ロシアが今の占領地を保持したまま停戦に持ち越せたとしても、その後の厳しい経済制裁はもっと国を苦しめるはずですからすでに勝っても負けてもあまり意味がない気がします。そしてそういうことすら理解できない国民がいます。

3年目は色々大きな動きがあるように思います。いや、取り敢えず戦争は終わってほしい。
私は毎日平和を祈ります。

令和六年弥生朔日
不動庵 碧洲齋

最後にロシアを訪れた2019年に撮影。ウクライナから僅か100キロの場所。