不動庵 碧眼録

日々想うままに徒然と綴っております。

ロシア人の国民性

今回のロシアによるウクライナ侵攻についてはもちろんウクライナ国民の皆様には深く同情し、日本人としてできるだけのことはしたいと思っています。21世紀にもなって前世紀の大戦のようなことが本当に起こるとは驚くばかりです。こんな事は絶対に起こってはならないと思います。

さて、今回述べたいのはロシア側についてです。
私は2008年から縁あってロシア人と交流を持ち、2010年から2019年までは毎年ロシアに行っていました。現地では文化のみならず政治や経済、軍事についても結構話しました(友人には予備役が結構いたので)。
特に今後のロシアについて考えると、彼らは今までにない屈辱を味わう可能性が大きいかもしれません。

冷戦時代、東西で頻繁にプロパガンダの応酬をして、直接的な戦闘こそなかったものの代理戦争と呼ばれる、同盟国に対する軍事援助による戦争を起こしたりしていました。しかし実際のところ、旧ソ連国民にとっては大したことではありませんでした。なぜなら欧米圏のニュースはシャットアウトされてましたし、旧ソ連の国民が海外旅行に行くことも滅多にありませんでしたから。コップの中の嵐ならぬコップの外だけの嵐で、旧ソ連国内では自国がどれだけ悪いのか、例え分っていても客観的にそれを分析できる人は一般市民の中にはほとんどいませんでした。

しかし現在、新生ロシアでは国民は自由に情報を得ることができ、自由に海外に行くことができます、いや、できました。情報についてはロシア政府が規制をかけていると言われてますが、ごくごく一部のSNSやニュースサイトだけで、いわゆるザル状態のようです。実際、何人かのロシア人の友人たちは今でもフェイスブックを見ています。そしてかなり自由に海外のサイトを見ることができます。

ただ恐ろしく感じたのは、これだけネットで自由に情報を見ることができるのに未だにプーチン大義を本気で信じている人(ロシア時代生まれの若い人も含む)が一定数いるという事。どんなに情報が自由に見ることができても、学校教育や日常テレビで流れる国営放送からのプロパガンダによって人は結構洗脳されるという事です。洗脳というのかなんというのか。情報の自由度や量はあまり関係なく、あくまで人の心だと思ったものです。

また、このウクライナ侵攻が一段落したらまた、ロシア人は海外に行くようになると思いますが、ソ連時代では味わうことがなかった強烈な批判を受ける可能性があります。同時にロシアという祖国を外側からみる機会がまた出てきます。その時彼らはかなり手厳しい批判に晒されて恥を掻くのは間違いありません。実際のところ海外に行くロシア人、海外に多くの友人を持つロシア人などはインテリ層が多く、プーチン政権を支持している人は少ないと思いますが、プーチンを支持している人にはかなりイタい現実を知らされることになります。屈辱的ですらあると思います。・・・海外によく行く、インテリ層ロシア市民には泣きたくなるような現実でしょうが。

私が見たところ、ロシア人は日本人と似ていて、政府よりも国土を愛しているという人が割と多い感じがします。人工国家であるアメリカやオーストラリアに較べて「国を愛する」という場合は国土を意味する場合が多いように思います。ロシアに限らずもしかすると古い国の民は概してそうなのかも知れません。私は長期滞在したことがあるのは米豪だけで、ドイツには仕事で2回ほど行った以外は他の欧州諸国には行ったことがありません。日本なども国を愛すると言ったらほぼほぼ国土を意味していて、政府というのはその上に乗っかったゴミクズぐらいにしか思っていない人が多いのではないでしょうか。日米は世界的にもかなり親密な国家ですが、多分この相違の違いは乗り越えられないものだと感じます。

ロシア滞在時、私はよく政治の話をしましたが、中でも公正な選挙の重要さを何度も説きました。
彼らもいい歳した大人ですから現在のロシアではプーチンの権力が強すぎて公正な選挙が妨害されているということはよく理解していたようです。ただ今考えると何故公正な選挙が重要なのか、どこまで理解していたのか疑問です。驚愕したのはウクライナ侵攻後、「ロシアの選挙は明らかにおかしい」って言ってた友人の何人かが「プーチンは民主主義的選挙で公正に選ばれた大統領である」「欧米の民主主義は思っているほど価値がない(大したことがない)」と平然と言ってのけたところでしょうか。私的には「え”!?」です。マインドコントロールを受けているのか、どこかにスイッチでも付いているのか、どんな心理でそうなるのか大変興味があります。また彼らにはまだ民主主義がなぜ今のところ一番マシな政治理念なのか、理解が及んでいないようにも思います。(つまりソ連崩壊から30年という月日は国民に民主主義の理解を浸透させるには十分な長さではないと言う事)
また、これを見てなるほど多くの国民が反対もせず粛々と政府の言いなりになるのかと戦慄しました。

私たち日本人はこの多くのロシア国民の貧しい政治理念を反面教師にして、民主国家の民として恥ずかしくないように心掛けていきたいものです。

 

令和四年卯月六日

不動庵 碧洲齋

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2019年に行ったロシア。ここはウクライナから100kmほどのところ。