不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

祖国を想う心

今年の正月は記録に残る最悪の事故と災害が重なりました。
ひとつは日本航空166便と海上保安庁の航空機接触事故。
もう一つは能登半島大地震。
幸いにして前者はあれほどの大事故だったにも拘わらず、たった18分で400人近い乗員乗客を無事脱出させることに成功したという、まさに奇跡的な事件でしたが、それでも海上保安庁の航空機に搭乗していた5名は亡くなってしまいました。彼らは能登半島の地震の支援のために出立するところだったそうです。
能登半島大地震は東日本大震災を彷彿とさせるものがあります。先の大地震でかなり多くの教訓を得たはずで、メディアの注意方法や警告方法など、改善が見られていましたがそれでも100人以上の犠牲や200人以上の行方不明者がいるなど、多くの被災者の方々を含めてお見舞いを申し上げると共に、自然の恐ろしさを改めて思い知った気分です。

これに関連した話です。
JAL機事故の奇跡の脱出、能登半島大地震での被災者たちの規律正しさなど、雨後の竹の子のようにSNSで賞賛する投稿が増えています。羽田空港事故では能登半島大地震の救援に向かおうとしていた海上保安庁機の5名が亡くなっており、能登半島では3桁もの犠牲を出してしまっていますから、賞賛系の動画はいかがなものかと思います。

私が些か食傷気味に感じるのはいわゆる「祖国礼賛系」投稿です。
YouTubeなどで多く見かけます。
日本人が日本人に日本語で自国の素晴らしさを誉め讃えるという行為は悪だとは言わないまでも些か品性に欠けるように感じます。
こう言っては失礼ですが、例えば歴史が数百年程度の若い国家であればそう言うこともあるのかなと思います。
また、独裁国家では政府主導でそういうことがあっても致し方ないと思います。
しかし世界最古の国家たる日本人が日本人同士で祖国礼賛動画で盛り上がってはいけません。あまりに品がなさ過ぎます。
それ程祖国礼賛をやりたい場合はできたら英語で海外の人に広めてください、と言いたいところ。
私も何かの折には日本について、国際的に見てなかなか素晴らしい情報があればSNSに投稿することもありますが、「そういう系の投稿」にしか「いいね」を押さない人もいたりして辟易させられることもあります。一般に反日国と見做されている国をい異常なほど口撃する人も好きになれません。私も時々揶揄することもありますが。
つまり右でも左でも私は偏った人があまり好きではありません。

偏った内向き思想は大抵異常な方向、極端な方向に向かいます。
そしてそれは我が国の雅号でもあり、理念として掲げている「和」にも反します。
もっと簡単に言えば畏れ多くも天皇陛下の御宸襟を悩まし奉ることは全て良くないことです。
天皇陛下が国民に望んでいるであろうことを慮って、誠実にそれを行い国内と世界にあって調和を旨とすること。特に保守系に異常に傾倒している方に言いたいのはこれです。
いや、実際に私も幾つかの横暴な国家に対しては厳しい指弾はしますが、上記の想いなくしては日本人の本分が発揮できない、私はそのように考えています。
その上でこれらの行いを慎み行いて、海外から日本人の資質を賞賛されるのであれば、まさにそれが本物の祖国礼賛ではないかと思います。
くれぐれも日本人たるもの、皇室の元、勇敢で慎ましく、知恵と慈悲を持つ美しい姿の国民でありたいところです。

令和六年睦月九日
不動庵 碧洲齋

今年の初詣で参った、我が先祖が鎌倉時代に創建した神社。