不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

霜月五日稽古所感

このところマンツーマンの稽古が続く。
実際のところ、5人入門しても残るのはせいぜい1人ぐらいというのが当流に長年身を置いている私の感想。来る者は拒まず(大体)、去る者は追わずというのが基本である。

昨日はKK君が夜勤明けでやや体調がよろしくないというので坐禅と受身は省略、通常の夜間稽古のようにした。
指南した技は二つほどでいずれも投げ技。
長けてくると相手が崩れて動く軌道が見えてくるものである。
なので自ら押したり引いたりすることはほとんどない。
また、歩法も独特なためいわゆる見えない動き、感じられない動きになるため、KK君はよほど注意していないと運足が分からず。
本来であれば一箇所を見るかのように全体を見て、全体を見るかのように一箇所を見なければならないのだが、初心者にはそれがなかなか難しく。
更に進むと視覚に頼らない動きになっていくのだが、それはまた別の話。

組み手に於いてはそもそも組む前が要である。
そして流水の如く、清風の如く動くことが肝要である。
そして最も重要な技法は技そのものよりも崩しの技術であると、師からいつも指南を受けている。

マンツーマンの稽古では自然熱が入るため、結構肉体的にきつく感じる門弟は多い。
力の抜き方や無駄のない動きをまだマスターできていない門下生はそのうち受身から立ち上がることもままならなくなるが、その辺りの動きが一番よい動きである。
肉体が疲労の限界に達すると、本能的にムダな動きや無駄な力を抜いて動くため、逆に技がきれいに決まる。そのため私はよくマンツーマンの時はギリギリまで絞ることが多い。
弟子もその時の感覚さえ忘れずにいれば、ある意味一足飛びに理想的な動きを体感できる。

今月は主に水曜日夜と日曜日夜というイレギュラーだが海外門下生の来訪以外はマンツーマンの稽古になりそうだ(笑)

令和五年霜月六日
武神館 不動庵道場
不動庵 碧洲齋

坐禅会のために通っている寺