不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

あるロシア人からの書簡 序章

私は2010年からほぼ毎年、ロシアに渡航しています。
仕事の出張も含めて10回渡航したことになります。
モスクワを中心にかなり遠いところまで足を伸ばしました。
車で7時間以上かけてウクライナ国境から100キロ足らずの地方にも行きました。
宿泊したのは2,3回を除き全て民泊です。恐らく日本人でロシアで民泊したことがある方はかなり少ないと思います。
現地に多くの友人がいて、政治の話や宗教の話などにも話題は及びました。
彼らが日本に来たときには色々もてなしたりもしました。
そういう意味で多分、私はロシアについてはそれなりに知っている方だと思います。

今回のロシアによるウクライナ侵攻の後から、色々なロシア人からのご意見が届きました。私から訊いた場合もあります。残念ながら今回のように明らかすぎる違法行為にすら賛同するロシア人がいるのも事実です。熱狂的に賛同している人もいます。

元軍人の友人が何人かいますが例外なくウクライナ侵攻には賛成です。元軍人というのは兵役義務をこなした人という意味ではなく、職業軍人として長年勤務したという意味です。

知り合いに自称人権派弁護士という人がいました。しかしロシアのSNSにて彼は非常時に於いて敵国の国旗を国内で掲げるような連中は取り締まられて然り」という意見に「いいね」した上でシェアしていました。これがロシアにおける民主主義の現実です。

とはいえニュースソースが偏向していては民主主義の自由が問われてしまいます。私が実際に見たロシアと日本国内で見るニュースのロシアはかなり違います。息子も3回もロシアに行きましたがやはりかなりの違和感を感じているそうです。まさに「百聞は一見にしかず」です。

日本で紹介されている関連記事は全て西側諸国のものということについても危機感を持ちます。もちろんロシア側のニュースたるや、唖然とされるものが大半です。しかしそれでもできればもっと公開して欲しいところ。

2015年にウクライナ国境にほど近いところに行った時はたくさんのウクライナナンバーの車がウクライナから入国して北上していくのを見ました。大きな街にはウクライナから避難してきた大勢の人も見ました。着の身着のままで貧しい様子でした。しかしその時、日本ではウクライナの新政権を称えているえいぞうばかりでこのような状態は一切流れていなかったのも事実です。ウクライナ人もロシアに逃げ込んできたほどです。私がニュースの偏向にかなり神経質になっている理由です。

これから何回かに分けてウクライナ侵攻に肯定的なロシア人とのやり取りを公開しようと思い立ちました。相手は元軍人で予備役だそうです。ソ連時代に兵役に就いていたそうですからずいぶん昔です。年齢は私より二つ上の54歳。モスクワから百数十キロ離れた街に在住です。英語が話せたと思いますがもしかしたら今回のやり取りのためにWEB翻訳も頼ったかも知れません。実は今日の段階ではまだやり取りは継続中です。相手には悪いと思いつつ公開することは言ってません。後で言うつもりです。

彼の思想はノスタルジックな香りが漂うソ連時代のもののように感じます。
もちろん揶揄しているわけではありませんが彼の愛国心の表れでもあります。
しかしながらソ連時代とは大きく異なり、現在は自由に海外に行くことができ、インターネットで自由に検索することができます(今はロシア政府がある程度規制をかけてますが)。ソ連時代に比べて遥かに自由に知る権利が補強されている、と言っておきます。それにもかかわらずの意見です。

では次章から。

令和四年弥生六日
不動庵 碧洲齋

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モスクワ郊外、クヴィンカ軍事公園に展示されている戦車