昨夜、大都市ですら、軍や警察が巡回して無差別に若い男に召集令状を手渡しているというニュースを聞き、露国武友に以下のメッセージを送りました。
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「今のロシアでは、モスクワやサンクトペテルブルクなどの大都市でも、警察官や軍人などの政府関係者が、ほとんど無差別に店や街で男性を徴発しているとニュースで報道されていました。もし本当なら、恐ろしいことです。だから、あなたも十分注意してください。」
すると先ほど、こんな返事が来ました。
「はい、現実にそれがここで起きています。でも多分、それはあなたが想像している以上に悪い事態です。それは○○市(友人在住のモスクワ郊外の市)や△△市(友人が住む市に隣接する市だがモスクワにも隣接している)でも起きています。軍関係者が店や地下鉄、工場で若い男を無差別に捕まえています。普通の路上でも警察を使って徴発してますが、まるで狩りでもしているかのようです。
私の隣人はうちの前の道路で軍関係者に捕まり、召集令状を渡されました。彼らは何でも若い男を捕えようとしています。私の反対側に住む隣人はこの状況が原因で心不全を起こして病院に入院しました。
多くの若い男性市民は何故この戦争で人を殺さねばならないのか理解していません。」
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私が何度も行っているその土地で、軍や警察が徘徊しながら無差別に人を狩るかの如く徴兵していくのかと思うとゾッとします。本当にそんなことが起きているのだろうかとリアリティーすら感じられません。しかし現実にそれは起きていて、ロクな装備もなくほとんど訓練を受けていない状態で最前線に送られるという、悪夢のような事態になっています。
訪露時にはいつも、口を酸っぱくして選挙の重要さ、民主主義の原理、基本的人権の意義などを話していたことが懐かしいですが、現実にそれらが国家によって蔑ろにされているという事実に私は恐ろしさを覚えます。
今回のウクライナ侵攻はウクライナ軍がロシア軍を国外まで撃退しても、ロシアにとってはまだ終わらないと思います。ロシアという国自体が大きく時代から取り残されてしまうという可能性すら考えられます。或いは崩壊、あるいはプーチンの失脚ということもあるでしょう。
というよりこの事態になってしまったらプーチンが全責任を背負って失脚して、後任が全力で世界を駆け巡って土下座外交でもしない限りはロシアの復興は望めないと思います。
プーチン、一体どこで何を勘違いしてしまったのか・・・
今回に限って言えば「侵略した国が負けた」という恥ずかしい現実以上に戦後の手厳しい世界規模の経済制裁などの困難が待ち受けているというのに。
是でロシアが経済的に大幅な後退を余儀なくされただけではなく、外交上もかなり大きな失点となってしまった。
一体ロシアが元に戻るにはどれ程かかるのか・・・。
ただ、よい側面もあります。ロシアとウクライナ双方、元々互いに知人友人家族など、関係を持つ人がたくさんいます。故に理解し合えない相手ではありません。今回ロシア軍が積極的に戦いたくないと思った理由のひとつではないでしょうか。きっとウクライナ人は話し合ってロシア人たちの歪んだ政治観念を正してくれることでしょう。
令和四年神無月十九日
不動庵 碧洲齋