不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

16年目に想う

私は禅の修行に於いて2人の老師に師事しています。
どちらにもほぼ同時期に師事し始めましたが、今月で丁度16年になります。
1人は現在、横浜市西区にある洪福寺住職と、もう1人は川口市にある長徳寺の住職です。
あいにく洪福寺坐禅会は老師の健康が思わしくなく休止していますが、長徳寺の方では毎月2回、第1第2日曜日の早暁坐禅会が行われています。
どちらの老師も私には大変過ぎた素晴らしい老師で、恋愛運も金運も仕事運も薄幸な私でも師匠運だけは強力だと痛感します。ちなみに武芸の師匠も大変素晴らしい方です。一体全体、運命とか宿命は私に何をさせたいのでしょうかね(笑)

二つの坐禅会に参加したのは2007年の11月。
その年の2月に父が急逝して、仕事や武芸、家庭のことなどで行き詰まり、精神的にかなり参っていたときにふと坐禅をすることを思い立ちました。それまでは武芸で鍛えた精神でどんな難関にも余裕で打ち勝てると強く信じていましたがさにあらず、意外に脆かった自分の心に打ちのめされました。恥ずかしながら武芸ではこの泥沼から抜け出せないと感じて藁をもつかむ気持ちで選んだのが禅でした。

坐禅そのものに初めて触れたのは更に遡ること5年前の2002年。偶然訪れた群馬県南牧村にある不動寺で始めたのが縁です。知る人ぞ知る上州の隠れた名刹です。以後足繁く訪れて、禅や武芸の修行をしましたが、なにぶん遠いので訪れたのは月に1回程度でした。私は不動寺住職から初めて禅の手解きを受けました。この時人生で初めて法事以外で僧侶と話す機会を持ち、禅仏教に興味を持ったものでした。

私が武門に入ったのは1986年16歳の折、それから16年後は2002年、丁度結婚をして子供が生まれる前、そして上記不動寺で住職と知遇を得た時期でした。現在の私の「武と禅」の萌芽が現れ始めた頃でしょうか。

そう考えると現在の両老師に師事して16年目というのは、やはり何か新しい進展や変化がある頃合いでしょうか。私は最近、そんな予感を強く感じます。

令和五年霜月十六日
不動庵 碧洲齋

臨済宗建長寺派大智山長徳禅寺