不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

黄檗宗 黒瀧山 不動寺

お題「思い出の場所」

私にとって思い出深い場所は群馬県南牧村にある黄檗宗黒瀧山不動寺です。

2002年のGWの1週間前にたまたまNHKで放送していた「小さな旅」を観ました。
その回では群馬県の山奥にあるお寺を紹介していたのですが、大変素晴らしい景色に目を奪われて、早速GWに行ってみました。

上信越自動車道を降りてから田舎道をひたすら進み、南牧村という山間の村に向いそこから更に山道を数キロほど走りました。軽自動車でも少しひやりとするような細く所々未舗装の道が続きました。

思いもしないところに駐車場があり、そこに車を止めるとそこから徒歩で登りましたがテレビで見た以上の絶景が広がっていました。文字通り崖っぷちに建てられている寺院で南以外の三方をほぼ垂直の崖に囲まれていました。GWというのに観光客もほぼおらず、静謐さが保たれた深山の古刹でした。

立ち尽くしていると住職が出てきました。そもそも私は今まで僧侶なる人とは法事以外で対面することもなく、ましてや話す機会もないほど縁の薄い対象でしたが、不動寺の住職は大変親身になって歓迎してくれました。

不動寺の本尊は不動明王ですが、私の生まれ年は酉年で守護本尊は不動明王になります。また武芸を嗜んでいることからやはり修行を護持してくれる仏と言うことで今まで何となく親近感を持っていたものの、この時以後深く帰依するようになりました。

また、黄檗宗は禅宗です。この時初めて座禅の指南を受け、以後現在に至るまでずっと座禅を続けています。今や私にとって禅は武芸と両輪の輪のような教えでもあります。以後、概ね月に1度は訪れて禅や武芸の修行に明け暮れました。境内の近くにある馬の背や近くの山峰などにもよく足を運んだものです。時には奉納演武なども行わせていただきました。ここでは普茶料理もあり宿坊として投宿することも可能でした。

大変残念なことに住職は5年前に他界されてしまいましたが、今でも私が禅仏教に深く帰依することとなった思い出の場所です。

令和五年卯月二十日
不動庵 碧洲齋