前のブログの続きです。
伝統古流武術と競技総合格闘技の違いについて。
私個人としては双方の違いをこんな風に捉えています。
前のブログにも書いたように、双方を較べることにそもそも無理があります。強いて言えばそれは長さと重さを較べてどちらが大きいと言っているような感じでしょうか。
例えば武術では「フェア」で戦う必要はあくまでも相手や周囲のニーズに応じたエチケットやマナーの類であって、必ずしも守らねばならないものではありません。逆に競技総合格闘技は絶対に守らねばならないものです。
私は昔、小太刀と鎗を学んでいた時、先生に5人で組めと言われそうしましたが、自分は小太刀1本、相手は鎗を持った4人という状況下で組み太刀をさせられました。武術ではそういう状況もあるのです。
これは極端かも知れませんが、相手が武器を持っていることはごく普通というシチュエーションで稽古することは古流では全く珍しくありません。競技総合格闘技では通常あり得ない状況です。もちろん優れた方であれば相手が武器を持っていても対処できるとは思いますが。
それと武芸に於いては勝てそうに無い相手から「逃げる」こともオプションとしてあります。逃げることも許されています。しかし競技総合格闘技ではまさかリングの上から逃げるわけにはいきません。オプションとして逃げるというのは基本ありません。
競技総合格闘技はあくまで「技量を競って優劣を付ける」ことが目的です。
伝統古流武術は「生存する」ことが目的で、非常時ではそれはほぼ戦闘時を想定しているので武技を用いることとイコールな為、自衛のためにそれを駆使しますが、生存できるなら逃げても良いわけです。
そう考えると、こんな風に言い当てられるのかなと思ったりします。
伝統古流武術 : 適者生存
競技総合格闘技: 弱肉強食
人によってはそれでも比較した場合どうなんだと食い下がる人もいます(笑) 私は流派や団体で強弱はないと考えます。人それぞれです。強いて言えばその日その時その場所でその相手に対してたまたまコンディションが僅かに優れていた場合、或いは身体や脳力が優位だった方に勝ちがあります。そしてそれがいつ来るのかは分かりません。
なので武芸者はなるべくハイスペックな状態を恒常的に維持することを心掛けているわけです。競技格闘技家は任意の試合のために調整してそこまでに最大のパフォーマンスを持って行くことが求められます。それ程違うものに比較することがどこまであるのか微妙に思います。
令和参年神無月七日
武神館 不動庵道場
不動庵 碧洲齋