不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

遍路装備 衣装一式

この装備の主眼はあくまで通しの歩き遍路の場合です。

菅笠
笠ではなく帽子を被っていらっしゃる方も散見されましたが、やはり雨天時なども考慮すると菅笠の方が良いです。
ネットには風に煽られるから小さめの方がいいと書いてあることが多いですが実体験では大きめの方が確実に良いです。理由は単純で菅笠の機能を最大限に発揮するから。小さい菅笠だと少し陽が傾いてくると機能しなくなりますし雨の時も同様です。私は網代笠でしたが大きめだったので大変助かりました。確かに風が強いと煽られますがそんなことは滅多にありませんし、日射しが強いときや雨の時には笠の大きさに助けられました。そもそも風があるときは笠の大小にかかわらず煽られます。
また笠にビニールをかぶせている方がいますが、少々の雨では笠から沁みてくることはありません。逆にずっとビニールをかぶせたままだと風通しが悪いので蒸れます。また、紫外線によってビニール素材も劣化していざというときに機能しなくなります。
頭を乗せる五徳部分と笠の結合は針金で結ばれていますが、私は多少不安だったので予め補強しておきました。これはとても重要でした。それでも最後の方では五徳の環が壊れかけましたので、予め頑丈にしておく必要があります。
さらに日に何度も付け外しをするので付属の紐のままよりも、ワンタッチで脱着でき、五徳部分のクッションが着いている器具がお勧めです。これがないと付け外しがかなり面倒になります。

金剛杖
伝統的な方法であるなら金剛杖は必須ですが、市販されているものは短すぎる気がします。私は修験道僧侶の友人に自分の身長と同寸の170cmのものを作っていただきました。本来これぐらいあるといいですね。特に山道の上り下りでは長い方が有利です。私はそれに自分で梵字を書き入れて柿渋を三度塗りを3回行い、紐を巻きました。下の端にはゴムキャップを付けました。88番札所で収めてしまう場合はすり減ってもよいのでしょうが、私は持ち帰るつもりでいたので。しかし最初に持って言ったときはゴムのキャップでしたが4個のスペアも2週間とかからず摩耗してしまいました。その後ホームセンターで買ったものはポリエチレンだったので、保護はしましたがグリップ力は弱く、よく滑りました。この辺りは悩むところです。間違いなくゴムの方が滑らず機能的ですが摩耗がとても早い。ポリエチレンの方が耐久性に優れますが割に良く滑る。
梵字が書かれている頭部分にはたまたまあった丁度よい長さの袋をかぶせました。そしてその下に紐を巻きました。ただこれだと巻いた紐がよく崩れるので松山ではスポーツショップに行ってテニスラケットのグリップテープを買って紐の下に巻いたところ、紐が崩れなくなりました。
実用面から言うとストックがよいと思います。両手に持つので機能的です。しかも折りたためるので不要なときは仕舞うことができます。年配の方はこれを使っている方が多かったのですが、やはり先端のゴムの摩耗の速さは誰もが問題視していました。2本ありますから予備のゴムキャップの数も半端ありません。
折衷案としては金剛杖とストックを1本ずつ持つこと。山道では2本あると大変助かりますからその時はストックを伸ばして使い、平坦な道では金剛杖だけにするというのは良いと思います。次回行くことがあったら私はこれにしたいと思います。

笈ヅル
長袖タイプと袖なしタイプがありましたが、私は長袖にしました。多少でも衣服の機能を期待したからです。それに日射しを避けることもできます。これは好みの分かれるところですが、普通歩き遍路が行われる春か秋であれば長袖の方が良い気がします。笈ヅルにポケットがあることを知ったのは数日後だったのがマヌケでした(笑) このポケットはとても重宝します。

輪袈裟
秩父遍路のものを使っていましたがこればかりは洗えないので困った次第(笑) 皆さん色々な色合いと刺繍がされたものを使っていました。基本的に遍路をしている間はずっと付けたままにすべきです。なので汗でずいぶん汚れます。

念珠
今回はわざわざ108珠を買いましたが最初に失敗したのは首に掛けていたことがよくあったこと。ニスかなにかが溶け出して笈ヅルを汚してしまいました。ただニスが落ちた後の念珠はなかなかいい色をしています。それとは別に念のためにいつも御守りとして持っている片手用念珠も持って来ました。私は常に金剛杖を右手に、念珠を左手に持って歩いていましたが、山が険しいときなどは笈ヅルのポケットに入れておきました。

サンヤ袋
これは基本、宿から札所が近い場合、或いは札所から札所が近い場合は首から掛けていました。掛けるというのは荷物を全て背負った後に首から掛けるといい感じで胸元にサンヤ袋を掛けられるという意味です。近いというのは大体5キロぐらいまで。それ以上離れているときはやはり背中のリュックに入れていました。これは後半になってから気付いたのですが、毎回札所に行くとロウソクを立てて火を点けて線香を焚いて納め札を書き入れてから箱に入れ、お賽銭を投じます。この一連の作業をどのように簡単にするか考えたところ、線香筒に一式入れておけばよいことに気付きました。1日で回る札所の数は5,6ヶ寺という場合もありますが、普通は1~3ヶ寺程度、1ヶ寺につきロウソクは2~3本、線香は6~9本、納め札は1~2枚、賽銭と納経料500円なので、当日参拝する分を線香筒に入れておけば良いと言うことです。納め札には予め書いておけば、筒以外に必要なものはライターぐらい。私はライターも筒の中に入れました。納め札は汚れないように小さなビニール袋に入れてから筒に入れました。そうすることによって札所ごとでサンヤ袋の中をごそごとやってあれこれ探し回る必要がありません。線香筒が小さかったらそれに見合うプラケースをダイソーなどで買っても良いと思います。それと納経帳と経典だけサンヤ袋に入れておけばスッキリします。それ以外の余分な線香、ロウソク、納め札はリュックに入れておけばよく。
サンヤ袋は普通の布製がよいです。防水ナイロン製の仕切りのついたものを買った人がいましたが、これはリュックに入らないので不便です。

その他
ライターは絶対にバーナータイプにしてください。普通のライターだとなかなか点かない場合があります。四国ではコンビニによく売っています。私もバーナータイプにしましたが不幸にも一度紛失してしまいました。が、コンビニに普通に売っていたので助かりました。
納め札は予め掛けるところは全部書いておいて方が良いです。私は途中から面倒になって札所で1枚だけ、宿で1枚圭枚だけ使うようにしました(笑) 札所で書くと作業が増えて面倒になりますので先に書くことがお勧めです。
御影用袋。御朱印を頂くと御影(おすがた)という、本尊がプリントされた小さな紙を頂きます。88箇所回ると結構な量になります。無くしたり濡れたりしないように小さめのジップロックなどに入れておくとよいと思います。私は1番でもらったかみの封筒に入れて、真ん中ぐらいで破れたので新たにもらったものを最後まで使いましたが、濡れないように気を遣いました。

経典は普通に売っているもので良いと思いますが、人によって全部読んだり一部省略したりしています。しかし必ず持参した方が良いです。札所ごとの御真言なども詳しく掲載されているものが多いですが、御真言に限って言えば札所の本堂には必ず掲示されていますので問題ありません。

追記
手甲:遍路中、早くから顔が痛くなったので日焼け止めクリームをなるべく塗るようにしていましたが、問題は手です。背抜きゴム手袋をしていましたが、やはり後半暑くなってくると素手になりたい。素手だと手の甲にいくら日焼け止めクリームを塗っても結構汗を掻くのですぐ流れてしまい意味が無く結局かなり焼けてしまいます。現在私は顔はそれ程焼けてませんが(大きい笠を使ったこともありますが)、手の甲はいい感じに焼けてます。指無し手袋か手甲はあった方が良いと思いました。

 

令和七年皐月朔日
不動庵 碧洲齋

網代笠の五徳部分、このように五徳を囲むクッション付きワンタッチ脱着アイテムがあると大変便利。また五徳部分は予め補強しておいた方が良い。

特製金剛杖。長さ170cmで柿渋塗り紐巻。山道では大変お世話になりました。

後半よく使っていた線香筒セット。2-3ヶ寺ぐらいであれば十分対応できた。写真の内容は参考まで。