「鬼滅の刃」は日本中を席巻した作品ですが、剣術で鬼を倒すというのは武芸をしている人間にとってはなかなか面白いと感じるかも知れません。私も一応初回から全てのアニメは視聴しました。
その中で主人公竈門炭治郎がよく使う「隙の糸」という概念が大変興味をそそります。
表現が多少違いますが、武芸的には確かに「隙の糸」のようなものがあります。その「隙」というのは時間や間合、拍子や心理的、肉体的な死角、さまざまな性質である場合が多いのですが、それらの複合的な間隙を縫っているものがその「隙の糸」ではないかと理解しています。
スポーツ格闘技の場合は多くのルールがあってほぼ対等な条件という事もあり、この「隙の糸」はあったとしてもかなり分かりにくいかも知れません、勝手な想像ですが。しかしルールがない武芸に於いてはこれ確かに存在して、それが見える人が生存確率を上げられると思います。
稽古で相対する時、受けは少々のことでは体勢を崩さないように構えるものですが、実際後輩たちが私に技を掛けても基本ほとんど懸からないか、懸りが弱い。何が悪いのか分かるように体感させてから受けたり、あまり酷いと説明をします。
ところが師匠の受けをするときはこの私の「隙の糸」を縫うように技を掛けられて、コロッと技に掛かってしまいます。基本的に構えには全方位全角度において完全なものはありません。普通はどこかに当りを付けた構えになります。もちろん熟練者ともなればそれが十重二十重に色々と工夫されて崩しがあってもフェイントがあってもそうそう崩れないはずですが、師匠の手にかかるといとも簡単に技が掛かり、しかも私は最古参なので結構強烈にやられます。
誘いで隙を見せたり、隙のない構えはありますが、師匠レベルともなるとそれでも隙がよく見えるようです。まあ、師匠との付き合いも36年にもなりますから、心の微妙な動きすらも捕えられてしまいます。最近そこがなかなか悩ましく感じる次第。
まだまだ武芸の精進が足りないと痛感させられる今日この頃です。
令和四年神無月二十一日
武神館 不動庵道場
不動庵 碧洲齋
武神館 不動庵道場
【日時】2022年1月8日土曜日、14:00-16:00
【場所】谷塚上町会館:草加市谷塚上町231-1
【アクセス】東武スカイツリー線 竹ノ塚駅西口
東武バス 竹04/竹05にて約10分、又は竹06にて約15分。
バス停「谷塚上町」降りてすぐ。
駐車場あり。
入門希望者・興味ある方はご連絡ください。