不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

世界の縮図

私が所属する武神館は海外では割に有名な流儀として知られています。
テレビなどでもよく紹介されたりしていますのでご存じの方も多いかと思います。
特に忍術も継承していることで外国人から注目を浴びています。
高校生の時分に入門してから今に至るまで、もしかすると100ヶ国近くの海外門下生たちと交流してきたかも知れません。ざっと数えただけで60ヶ国以上はあったので100ヶ国というのは大げさではないと思います。
自分の人生の4/5ぐらいは普通に外国人と交流がある生活で、また人生の2/3はほぼ毎日英語がある生活をしてきています(現在も仕事が貿易業なので公私ともに英語を使います)。多分これは日本に於いては特殊なケースかも知れませんが、お陰で一般的な日本人とは違った視点が持てています。
私は英語しか話せませんが(ロシア語を勉強中です!)、来日する海外門下生の中には英語も話せない人もいるので、意思疎通するのがなかなか大変なこともありますが、ここ最近はIT技術の著しい発達のお陰で簡単な会話はできるようになってきました。本当に大助かりです。

今私が所属する道場にはアメリカ人とロシア人がいます。どちらも日本在住でどちらも日本人女性と結婚して子供がいます。先週土曜日に何気なく2人が稽古しているのを見ていたら、不意に何か泣きそうな気分になりました。
どうして世界はこのように平和になれないのだろうか、どうして国家間だと諍いが絶えないのだろうか。
武神館の中では過去にも交戦中、或いは対立中の国から来た門下生たちがいますが、そういう場合でも双方は至って友好的です。直接会って話すということがどれだけ重要であるか良く分かる好例です。

もちろんその国によってその国の民の指向性や特徴はあります。
しかし結局のところ1人ひとり皆違うと言うのが実のところです。
特に日本人は昨今、バブルの時に較べて海外に行かなくなりました。また国内でも観光地以外では外国人たちと親しく交流を持つというケースも少ないように思います。
これは本当に良くありません。ましてや日本は世界的にかなり大きな影響を与える大国です。小さな国ではないのです。国民が異文化に対してもっと偏見なく受け入れ、かつ寛容であるべきです。
私にはどうしてもそれが今の日本には欠如しているように思います。

若い人はもっと海外に出ましょう。
容易に海外に行けないのであれば、来日した外国人たちと積極的に交流を持ちましょう。
それも難しかったらネット上で色々なつながりを持ちましょう。
交流を持つ内に、自分が何者であるのか、日本人であることとはどういうことなのか、かなり鮮明に理解するようになってくるはずです。

世界はもっと広く、楽しいものです。


令和五年如月十三日
不動庵 碧洲齋

海外同門と都内の甲冑店に行ったときの写真