不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

安倍元総理の国葬

国葬とは国に功労があった人が亡くなった際に、国費を使って国家儀式として行われる葬儀です。
戦前では色々規定がありましたが、戦後はその定義がなくなり、あまり行われなくなりました。


さて、この「国に功労があった」かどうかですが、民主主義国家ではそもそもそれなりの名声がないと議員の座にいることすら難しい上に、何かしら業績がないとその座を守ることは難しいという、ある意味フェアな制度です。
単純に言えば議員の座に長くいること自体がそれなりの業績にもなりますが、それが市議会議員、県議会議員、国会議員となると更にハードルが上がり、直接選挙ではありませんが大臣や総理にもなると議員たちから能力の有無を問われます。実際には色々な駆け引きがあるのでしょうが、駆け引きだけで総理になった人は短命であることが民主主義政治の証明とも言えます。


そう考えると日本の総理で一番長命だった安倍晋三元総理は一番支持されていたというのが事実です。何度も言いますが、民主主義政治では支持されない内閣は解散になります。
その最長記録を叩きだした安倍元総理が政治的な理由ではなかったにせよ暗殺されたというショッキングな事件に遭ってしまいました。

ところがこの「国葬」反対する人が多くて驚かされます。権力を持ちすぎた人は賞賛しないというような風潮が見受けられます。日本では出すぎた杭は叩かれる、という言葉がありますがそういうことでしょうか。正直日本社会が民主主義だと思えないことが度々あります。将軍や戦前の天皇、現代の首相と替わっても、民衆の意識がどれだけ変わったのか、かなり疑問です。

日本政界最長記録を持つ元総理で、テロによって暗殺された、という事実は民主主義に対する挑戦だと私は思いますが、これを以てしても国葬反対なのですから、一体どんな人なら国葬に付すのだろうかと考えてしまいます。

今朝方、リベラル派の知り合いがこんなメールを寄こしてきました。

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安倍氏は天皇じゃない!権威と権力の峻別をあいまいにする「国葬」の危うさを今日こそ噛み締めよう!│SAMEJIMA TIMES

私も安倍晋三元総理の国葬に反対ですが、鮫嶋さんの意見は尤もと思っています。 実は今日会社休んで国会議事堂前に行くつもりでしたが急遽変更し、明日、日中国交回復50周年の関連行事に行こうと思っています。
秋空が続いて欲しいものです。
煌めく鉄路を観てとても良い気分になりました。実に単純なものです。
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耳順を過ぎて民主主義の原理を理解せず、しかし日中国交回復50周年の関連行事はよく理解する辺り、なるほど日本が中国にとって便利な国になるはずです(笑)

戦後日本国民を頭の悪い羊に飼い慣らすという試みは上手く行きましたが、そのツケが今やってきているように思います。圧倒的な軍事力で威嚇している国に対して祝うのですから団塊世代の頭がどれだけお花畑なのか、想像するだけでもゾッとします。

本日は安倍元総理の国葬です。ご冥福をお祈り申し上げると共に蒙昧な国民が多い国ではありますが、この国が絶えないように一国民として微力を尽して参りたいと誓いを新たにしたいところです。


令和四年長月二十七日
不動庵 碧洲齋