不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

安倍元総理の国葬について

今朝の朝食時にたまたま息子と安倍元総理の国葬についても是非を話しました。
息子的には「やってもいいんじゃない」だそうです。
理由は;
1.一般市民からしてみたら数億円は大金でも、日本の国家予算で考えると微々たるもの。政府はそれ以上に無駄な出費をしている経費もあるので、安倍元総理ほどの人にならそのぐらいはよい。
2.安倍総理は憲政史最長の総理職を務めた記録がある
3.特に外交政策では海外から高い評価を受けている。
何とも18歳にしては大局的な判断です。
私も同じ意見です。

何十億円も掛けて天皇などの崩御に伴う大喪の礼をしろというわけではありません。数億円程度です。日本の国家予算は100兆円です。安倍元総理は全く評価されないほど最低な総理でしたか?
(最新のニュースでは2.5億円だそうです)

日本では総理大臣は直接選挙では選ばれませんが、総理を選んだのは国会議員、つまり私たちの代表者です。つまり私たちが選んだ国会議員たちが総理を選んだことになります。・・・と本来言いたかったのですが、日本の投票率の低さたるや目も当てられません。先月の参議院選挙では投票率52%、つまり有権者のほぼ半分は民主国家の国民たる権利を行使しなかったという事になります。
そういう体たらくで安倍総理国葬に反対とは笑止。
半分の国民は国政に関与しないのに日本憲政史最長在職記録の安倍さんの国葬には反対、世界ではあれほど賞賛されているにも拘わらずです。
つまり日本人のメンタリティーは民主主義からかなり乖離していると言わざるを得ません。
(そもそも民主主義が日本人に適切かどうかさえ怪しいと思いますが)

自民党の葬儀にしろとか、有志だけでやれとか、まあ、そういう人たちは多分、民主主義からはかけ離れた精神世界にいるのではないかと思ったりします。
国際社会の慣習というか体裁としてもこれは国葬にする価値が十分にある、ということを理解できない日本人が多いことが残念に思います。

息子はこんな事も言っていました。
日本人は世界から日本を見られる人があまりに少ない。
だから世界からどれだけ安倍さんが評価されているのか体感的に分かってない。
その通りです。

日本人で海外に家族兄弟親戚友人知人が、たとえば10人ぐらいいる人はどのくらいいるでしょうか。統計を取ったわけではありませんが私の体感では先進諸国の中ではかなり少ないと感じます。
つまり日本人が不特定多数ではない海外にいる人から、日本についての海外からの評価を直接聞いたり話し合ったりする機会を持つ人はかなり少ないと考えます。
一歩下がってSNSなどでもそのような話題を海外の人とする人も少ない気がします。
日本人の友人に保守系の人は多いですが、そういう意味で彼らは直接、多数の外国人とそのような意見交換をしている人が少ない分、ずいぶん変な偏向をしている人が多いのはそのためかも知れません。

日本の政治家は公約を守って当然なので誉めるほどのものではない。公約を破ったら叩かれる。学校でも会社でも日本社会は基本「誉める」ことをあまりしません。
昔風に厳しい修行に耐え抜いた人だけが尊い、のような?
ま、これが日本社会の悪弊のひとつだと思いますが。
互いに良くも悪くも認め合う欧米の風潮に関して言えば悪くありません。息苦しさがないというのか。ここは日本社会が残念に思うところです。

憲政史上最長の総理職を務めて、背後から銃撃されて殺されるという場合でも国葬反対が多いのであれば、それこそ聖徳太子でもない限り国民は国葬に反対するんでしょうか。この狭量さは日本人同士では厳格さとして納得しても、多分世界からは嘲笑の的になっていると思います。
今少し、国の未来に奉仕した人に対しては敬意を持てないものかと思います。

令和四年葉月二十六日
不動庵 碧洲齋