不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

潜水艦

今、GYAOでアニメ「ジパング」を観ています。かわぐちかいじさんのマンガは政治にしても軍事にしてもかなり細かく、引き込まれます。今回は米海軍航空隊がイージス艦みらいを攻撃する話でしたが、実際伊19号のサボタージュがなかったら苦もなく全機撃墜していたでしょうかね。とはいえ、当時の軍用機1機墜とすのにミサイル1発ってかなりコスパが悪い気がします。(笑) 多分ミサイル1発であちらの爆撃機が10機以上買えるんじゃないでしょうか。主砲弾とCIWSだけで墜とせなかったものでしょうか。なんて、戦争でそんなことも言っていられないか。


隊長機のミラクルな攻撃には驚かされましたが、ドーントレス、急降下を掛けてある程度慣性力が掛かってはいたものの、20mm機関砲の弾丸を受けたら普通あんな風には持ちません、木っ端微塵に吹っ飛びます。


副長と柳一曹が囚われていた伊19号潜水艦は伊15型潜水艦として戦前から戦中に掛けて20隻も建造された日本の主力潜水艦です。そして潜水艦には小型水上偵察機が搭載されていて、伊17はアメリカ西海岸を砲撃、伊25は現在のところ世界で唯一、米本土爆撃に成功した戦功があります。ま、爆撃と言っても30キロ爆弾を2発、それを2回ほどオレゴンの森林に投下してしかもそれは失敗してしまいましたが。例えばドイツのUボートに較べると巨大潜水艦でした。もちろん潜水艦に航空機を搭載したのは世界で唯一日本海軍だけでした。


作中で伊19号潜水艦がみらいに魚雷攻撃を仕掛けるというブラフがありましたが、柳一曹が電池切れと言ってました。私自身あまり当時の潜水艦がどのくらいの速度でどのくらい潜航できたのか、あまりよく覚えてませんでしたがWikiで調べてみてビックリ、当時の潜水艦は「潜水することもできる船」程度ですね(笑)


この伊19号潜水艦の潜航中のバッテリー航行はたったの3ノット(時速5.5キロ)ですら約180キロ程度の航続距離、水中全速力の8ノット(時速15キロ)だったら多分半分以下ではないでしょうか。当時の蓄電池などは現代と較べたらオモチャみたいなものでしたから。ただ作中で言っていたように2時間の全力航行で電池切れになるかどうかは分かりませんでした。あり得るのかなというレベルでしょうか。まああの場面では艦長の采配があったと思います。


ちなみに現在海上自衛隊の主力潜水艦であるそうりゅう型潜水艦のスペックは水上13ノット、水中20ノット航続距離は11300kmとありますが、どちらの機関なのかは分かりません。ただし連続潜航日数は2-3週間と原子力潜水艦にも匹敵します。ここまで連続して潜水できる通常型潜水艦は他国ではほとんどないようです。つまり自衛隊の潜水艦は通常動力潜水艦ではギリギリいっぱいの性能だと言えます。水上速度だと伊19の方が速いですね、24ノット近く出ます。これは船の形によるもので、現代の潜水艦は潜航したときにこそ最高速度が出るように設計されているためです潜行深度は伊19は100mでそうりゅう型は極秘です。ただ推定では600mとか900mとか言われています。各種センサーやソナー類も現代では桁違いの性能ですから一概には比較できません。


私は今まで記念艦になっている潜水艦に4回乗ったことがあります。
シカゴの産業博物館にあったUボートコネチカットにあったノーチラス号、NYイントレピッド博物館のSLBMが実用化される前の戦後の潜水艦、そしてサウスカロライナの戦時中の潜水艦です。ノーチラスはさすがに広々してましたね、現代では既に旧式になっているはずですが、それでも想像以上には広かったです。Uボートは内部のベッドや机に木材が使われていて大変優雅でした。現代の技術なら不燃化にできるはずですから木材の調度品を使用することは精神衛生上いいことだと思います。NYでは乗艦前のテストとしてある程度の狭さの穴があり、それを通り抜けないと潜水艦に乗れないというのがあったのですが、太ったおばちゃんが抜けなくなってしまい申し訳なかったのですが笑ってしまいました。SCの潜水艦は多分ガトー級だったと記憶しています。日本の潜水艦もこの程度の広さだったのかなと想像が付きました。いずれにしても潜水艦に乗るというのはかなりのストレスで、記念館ですら閉所恐怖症になりそうでしたから戦争のために搭乗するのは相当な強者です。私には無理ですかね。

 

令和参年長月三十日

武神館 不動庵道場

不動庵 碧洲齋

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