不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

戦艦大和の故郷

福山市を早朝に発ち、一路新幹線で広島駅に向かい、そこからローカル線で呉市に向かいました。
かの戦艦大和が建造された地ということで「宇宙戦艦ヤマト」の音楽を聴きながら気分を爆上げしました(笑) ちなみに呉駅のメロディーはもちろん「宇宙戦艦ヤマト」です(笑)
意外に呉の駅前は結構大きな都市でしたが、予定していた「歴史が見える丘」までは微妙に遠く、歩けないことはないものの結構時間がかかるということでタクシーを利用しました。
さすが観光地のタクシーということで色々教えてくれましたが、この日は多くの潜水艦が帰港しているので、歴史の見える丘の先にある潜水艦桟橋にも行った方がいいと勧めるのでそうしました。

まずは歴史の見える丘、西に面した造船ドックが一望できる丘ですが、その前を走る県道487号線の上に掛かっている歩道橋の突き当たりまで行くと更によく見えます。
わが目を疑ったのはなんと空母に改装中の護衛艦「かが」、本当に空母に改装されていて艦首は現在台形から四角になってしまっていました。子供の頃は良くプラモデルを作っていましたが、日本はもう二度と航空母艦を保有することはないんだなと、子供心に痛みを覚えていました。さすがに私も「おお~!」と声を上げてしまいました。まさか日本が再び空母を保有できるとは歓喜に耐えませんが、同時に日本を取り巻く国際情勢はそこまで緊迫しているのかと不安もよぎります。

護衛艦かが、空母に改装中。歩道橋端からドックまでたった150mの距離。戦艦大和が進水後、ここに移されて艤装されました。

戦艦大和が建造された屋根付きドック。現在ドックは埋め立てられてブロック船体の製造工場になっています。高い屋根部分は戦時中のもの。

この「かが」が改装されているドックこそ、戦艦大和が進水後に艤装工事のために使われたドックとのこと。「かが」もかなり巨大な艦体のはずですが、それでもこのドッグにはまだまだ余裕があります。それもそのはずで排水量ベースでは戦艦大和は「かが」の3倍にもなります。このドックは軍艦用のドックである証拠として深い。左隣のドックは浅かった。更にその左隣にある巨大な屋根を有したドックがかつて大和が進水したドックとのこと。現在ドックは埋め立てられていて、ブロック工法による船体部分の製造工場になっているとのこと。それでも船艦を建造したドックだけあって超巨大です。なお、写真の屋根が高くなっている部分は戦時中から使われているそのままのものだそうです。現在は何十万トンのタンカーでもブロック工法で作れば数ヶ月で出来上がってしまうそうです。
ちなみにこのポイントはドックから200mと離れていないため、本当に至近に見えます。
この場所で大和が建造されたという事実にヒシヒシと一人感動に浸っていました。

その次にタクシーに連れて行ってもらったところはそこから僅か1.5kmほど南に下ったところにある潜水艦桟橋。丘から下る辺りに海自の基地が見えるので多くの海自艦艇が見えます。ただあいにく車を止められる場所はありません。
潜水艦桟橋に止まって驚きました、なんと潜水艦が合計7隻も停泊しています。
1隻だけ離れた桟橋に停泊していましたが、それはつい数日前に除籍になったおやしお型潜水艦のネームシップ、おやしおでした。25年間も任務に就いていました。それ以外の桟橋には合計6隻の潜水艦が停泊しており、1隻だけそうりゅう型、それ以外はおやしお型でした。艦橋の形状が異なるので目印になります。大体知っていましたがやはり通常動力型潜水艦だけあって小さい。排水量は3000トンです。とはいえ異形の黒塗りの潜水艦が6隻も停泊しているのは見ものです。日本に潜水艦基地は呉と横須賀にしかありませんが、横須賀の方は米軍基地と共用なのでこんな至近で見ることができません。Gマップで計測したら一番手前の潜水艦までの距離は大体100mとなっていました。イヤイヤ、それ軍隊としてどうなの?って嬉しかったですが不安に思いました。タクシーのドライバーさんもさすがに「かが」の改装といい、潜水艦の係留といい、ここまで無防備なのはマズいでしょうとのことでした。

潜水艦桟橋、ホントに潜水艦が至近で見えます

現役の潜水艦左奥がそうりゅう型でそれ以外はおやしお型。こちらもわずか120m程度の距離。国防機密的観点からはどうなんでしょう?

数日前に除籍になったばかりの「おやしお型」1番艦「おやしお」

そこから大和ミュージアムに向かいました。歴史の見える丘経由潜水艦桟橋往復で3000円未満で行けます。もしタクシーを利用するのであればこの2箇所は必ずセットで行った方がいいです。

大和ミュージアムに行く前に昼食を食べたく思い、人気の店「ハイカラ食堂」に行ってみましたが・・・1時間以上は待たねばならないとのことで諦めました。残念。しかし近くに食べられそうなところもないので止むなくフェリー乗り場にあったコンビニで食べ物を買って食べました。
それから気を取り直して大和ミュージアム。まず入館する前に先週、駐車場に設置された巨大旋盤を見に行きました。この旋盤は戦艦大和の主砲砲身を削り出した旋盤です。しかもつい最近まで使われていました。驚きです。また、使われていたところからここまで運ぶのに1億円ぐらいかかるためクラウドファンディングを募ったところ、大幅に上回る2億円も集まり、結果、立派な展示室も作れたとのこと。旋盤はコンテナートレーラーに積載できる程度の大きさですが、多分重量的にはもっと重いでしょうかね。名前からするとドイツ製のようです。(先ほどネットで調べたら219トンだとか)しばらく感動していましたが・・・。

大和主砲砲身を切削した旋盤

ガラス張りの展示室のためなかなか全体像を撮影するのが難しい

大和ミュージアムの海に面した広場を見ると何やら催し物をしています。よく聞くとそれは「呉かき祭り」でした。生がきや焼きかきなどが販売されていて、お弁当なども売っていました。知っていたらコンビニなんかで買わなかったのに・・・悔しかったので焼きがきを5個食べました。いや、ホントにおいしかった。ちなみに焼いていたのは本物の漁師さんたちです。この人前日は特別に漁に出ずイベントに参加していたとのこと。好天だったので結構な賑わいでした。

大和ミュージアム全景、結構大きい建物です

客は凄く多かった。子供も大人も等しく感銘を受けていた。

焼きがきは大変おいしかった。

戦艦大和については正直今更ながら改めて知ったという知識はそれほど多くはなく、また、実際に沈没した大和から引き上げられた遺物も少ないため驚きは少なかったのですが、やはり1/10の大和は迫力あった。
零戦や特殊潜航艇、そしてかなり珍しい人間魚雷回天の試作艇もありました。

大迫力の1/10戦艦大和 最終改装時 かなり精巧に作られています

今回はあまり時間がなく、じっくり見ることが叶いませんでしたが、次回来ることがあればたっぷり一日かけて呉を堪能したいところです。

令和五年弥生十九日
不動庵 碧洲齋