不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

憲法記念日に寄せて

毎日新聞の記事から
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日本国憲法は3日、1947年の施行から74年を迎えた。毎日新聞と社会調査研究センターが4月18日に実施した全国世論調査で、憲法改正について「賛成」が48%と「反対」の31%を上回った。9条を改正して自衛隊の存在を明記することに「賛成」は51%で「反対」の30%を上回った。
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ここに歴史的事実を書きます。

大日本帝国憲法
1876年9月6日、明治大帝が「元老院議長有栖川宮熾仁親王へ国憲起草を命ずるの勅語」を下勅。1889年2月11日、明治大帝より「大日本憲法発布の詔勅」を下勅、大日本帝国憲法が発布。
期間13年

日本国憲法
1945年10月、マッカーサーの示唆により憲法改正の作業が開始。
1946年11月3日、日本国憲法を公布。
期間13ヶ月

 

改憲がなされなかった現行の国家憲法としては日本国憲法は世界最長。

 

明治政府の面々はバカだったから年月を掛けた割にはポンコツ憲法しか作れなかったのか、マッカーサーは優秀だったからインスタント憲法でも優れていたのか、日本国民は無知蒙昧だったから元敵がテキトーに作った憲法を後生大事に聖書のように守株しているのか、その辺りは分かりませんが、上記に掲げた三つの事実は動きません。個人的には明治政府創立の功臣達は現在の政治家の数百倍は優秀だったと思ってます(笑) 明治の政治家たちはドラマや映画になってますしね(笑) そもそも今の価値観で大日本帝国憲法を裁くなんて卑怯ですよね。ま、それにしても明治憲法は作るのに13年、この間、ほぼ全ての大臣たちは欧州に視察に行ったりして各国の政治を研究して憲法作成の参考にしました。飛行機などない時代にホントにご苦労なことです。翻って現行憲法はガイジンが「あ~それ、変えちゃって」って言ってから1年ちょっとで一国家の憲法をコロッと変えてしまっています。ナウル共和国じゃないです、国産で戦車も戦艦も飛行機も作っているそれなりに大きな産業国家に対してです。言う方も言う方ですが、真に受けて速攻従って書き直した方も問題だとは思いますが・・・まあ、それはもう70年以上前の話ですから仕方ありません。

 

民主国家においてはどこの国も大筋ではそれほど多く違うことはありませんから、明らかにおかしい部分だけ議論すれば良いのですが、一般には国家維持の為には国民、主権、領土の三要素が必要で、そのために対外的には軍備、内政的には健全な民主政治が掲げられると思います。


前者は第9条に当たると考えられます。実際、侵略の為の軍備はどこの国も否定していますが(笑)、日本の場合はもっと踏み込んでどんな場合も交戦するための軍隊と呼ばれる組織自体を否定するという、ちょっと行き過ぎてしまったことを規定してしまいました。現実にそぐわない憲法だったので、ガチでそれが守られたのは実はたったの3年少々、憲法発布から1950年8月に警察予備隊ができるまでの期間だけです。以後、警察予備隊、保安隊、自衛隊と名称を変えながら、バリバリに憲法を拡大解釈、曲解をしながら今に至っており、忖度なしに普通に解釈すれば自衛隊はドストライクで憲法違反になります。故に憲法が現状にそぐわないのか、自衛隊の存在が間違っているのか、どちらかです。昨今さすがにごくごく一部の野党以外は、与野党含めて自衛隊憲法違反などと言う人もいないようですが、いないならぜひとも自衛隊を国家の軍隊として昇格して、社会的地位の向上や更なる名誉的な扱いをしていただきたく。憲法遊びも結構ですが、外国から見たら自衛隊は普通に国家の軍隊です。

 

内政的には書いたように民主国家の仕組みというのはそれ程違いはなく、三権分立制を守ることと人権問題ですが、これについてはそれ程大きな問題があるとは思えません。これはマッカーサーが優秀と言うよりも、民主国家の在り方にあまり違いがないと言うべきかと。

 

憲法第1条「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」これは意外になかなか、偶然なのか連合国が研究したのかどうか、うまい表現だと思います。明治維新以後、敗戦までの時代を生きてきた人にしてみたら「ええっ!」でしょうが、その期間とてたったの77年、2世代程度です。建国神話で言えば、日本は敗戦時皇紀2605年ですから、77年間だけが近代国家としての立憲君主であっただけです。取り敢えず比較的記録され始めた飛鳥時代以後、江戸時代までの天皇というのは自分で専断できるような権力はなかったはずで、ある意味元に戻ったという意味ではこの憲法第1条は言い得て妙な表現だと思います。

 

憲法改正について昨今色々議論されてますが、日本国憲法第96条ではその規定があります。ただ何と言うか、75年も全く用いられることがなかっただけに今になってあれやこれやと定義の再確認などで色々揉めているのは面白いです(笑) 日本国憲法は神が作ったものではないし、欧米人が敵対心剥き出しの状態で即興でさらさらっと書いたものですから、やはり不備があると考えてよいと思います。元来日本人は慎重ですから憲法改正があるならやはり然るべき理由があると考えてよさそうです。もちろん急いだ方がいい案件は第9条であることは言うまでもありませんが。日本は中国、台湾、南北朝鮮、ロシアに囲まれています。実質的に友邦国家として考えられるのは台湾だけで、全く当てにならないのは下朝鮮、あ、韓国でしたっけ。ロシアも今や経済的な豊かさを知ってしまったので軍隊で脅かすことはあまり考えにくく、世界最悪の不良国家とその手下、中国と上朝鮮が最大の仮想敵でしょうかね。彼らが一旦事を起こす前に法整備もしっかりしていただきたいと思います。


ともあれ改憲の機運は高まったと思うので、ここらで少し憲法のメンテをすることは有意義ではないかと思います。

 

令和参年皐月三日
不動庵 碧洲齋

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