露国人について
今やロシアは一応自由な国(笑) 特にソ連崩壊後に生まれた世代なんて普通の欧米人です。
とはいえ・・・ソ連時代に生きたことがある人たちは忍耐強いし質素倹約が身に付いています。慎み深いというのか。
旧東側諸国のサービス業が最悪と言われていますが、これは今でもあまり変わらないと思いますが、上記のロシア時代の子供たちはさにあらず。接客態度は割に普通の欧米人です(笑)
友人は小学校高学年までがソ連時代でした。彼曰く、ロシア時代の人はわがまま、自分勝手、規律がないとか。私の見立てでもそういう人が多い気がします。
それ故でしょうか、ノスタルジーを感じるためなのかなんなのか、未だソビエトチックなものも好かれたりします。私もその頃のデザインや感覚の方が何となくロシアっぽくって好きです。と言っても現在ロシアで販売されているあらゆるもの、手に入るあらゆるものは当時とは比べものにならないほどに高品質になっています。当時のブランド名を冠した商品でも中味は別物かハイクオリティーになっていたりします。それはもう仕方ないですね。
オリンピック・メダリスト、アデリーナ・ソトニコワさん出演(中央)のアイススケートショー”くるみ割り人形”
そもそもそれらが販売されているスーパーやコンビニなども、大型チェーン店はほぼ他の欧州諸国資本の会社です。スーパーのみならず、自動車関係、食品関係、情報サービスなどなど、既に欧州諸国資本と固い結びつきがあります。この辺りは日本にはあまり紹介されませんが、東西の壁というのは基本的には見える形では既にありません。経済制裁と言っても一体どれ程効果があるのか。ビジネス業界でははた迷惑なだけのように思います。
そもそもクレムリンや赤の広場などで除雪作業をしている小型作業車は米国建機製品です。たまたま弊社の顧客でもあるので目に付きました。またお金の換算をする場合はロシア人がよく使うのも「ドル」(笑)
欧州諸国はロシアからも距離が近く、行こうと思えばすぐに行ける国なので、思うに素のロシアをよく知っているように思います。翻って日本の視点というか情報レベルは米国民並でしょうか。欧州諸国民に比べて日本人のロシア情報はかなり貧弱と言わざるを得ません。日本から見てもロシアは隣国です。もう少し知っていても損はないような気がします。
・・・ということで、よく行くロシアについて徒然書いてみたいと思います。
よくお茶を飲みます(笑)
紅茶が一番多く、その次にコーヒー。カフェではカプチーノ。最近は日本の緑茶も好まれています。
その際はチョコレートやクッキーもお茶菓子に出ますが、更によく出るのがジャム。
大抵は数種類です。ロシアンティーと言われていますが、必ずしもジャムを紅茶に入れるわけではなく、ジャムを食べながら飲む人もいます。確かにジャムを紅茶に入れると甘くなりますが冷めてしまいますから。
ロシア人は何かにつけてお茶を飲みます。朝起きて、食前食後、出掛ける前後、寝る前などなど、1日軽く5-6杯は飲んでるでしょうか。多い人は10数杯と聞きます。
今では普通のティーカップで飲みますが、伝統的なのは銀のカップホルダーにカットグラスのようなカップを入れて飲む様式。私も以前、ロシアの友人から贈られ、家で使っています。
スーパーに行くと色々な種類のお茶が売られています。一番飲まれているのはGreen fieldでしょうか。聞くところによると旧ソ連圏でもよく飲まれていたそうです。
服装について。他の欧州諸国とあまり変わりませんが、シックなのが多い。
年配の方や公務の方は割にソ連時代っぽい服装もありますが、それはそれでいい雰囲気を醸し出しています。
若い人、特にロシア時代に生まれた人たちは普通の欧米人です(笑) ま、多少派手さを抑えた感じはしますが。
贅沢はしませんね、やはり。冬場は毛皮の帽子やコートをふんだんに使いますが、それはもちろん贅沢のためではなく防寒のため。私も先日ロシアから戻ったばかりですが、年始以後、マイナス20℃以下がずっと続き、それはもう凄まじい寒さでした。ロシアでは冬の防寒は完璧にしておく必要があります。
それにしてもものすごい美人が普通に歩いているので、日本人だったら普通とかダサ目でも全然映える(笑) いや、本当です。美人はどんなものを着ていても様になります。うらやましいですな。
家は全て屋内全部で暖房が効いていますので、外がどんなに寒くても家の中ではTシャツで過ごせます。関東地方の私の家の方がよほど寒い(笑) 初めてロシアに行った2010年は異常気象でモスクワは大変暑く、冬に便利な建物は逆に不便でしたが、普通夏の気温は軽井沢ぐらいでしょうか。夏場、都市部の締め切った事務所でない限りは冷房は要りません。
暖房エネルギー源はガス。友人宅を例に挙げれば普通の2階建て1個住宅と別宅でやや小振りの2階建てログハウス二つ分の冬の1ヶ月分の費用が大体7000円ぐらい。この金額は諸々の公共費も含まれています。これは安いんじゃないでしょうか。
新年の少し前だけ花火の販売が許可されて、割に多くの家庭で打上げ花火を買います。今回の年始に打ち上げた花火は150連発花火で重さが30キロ近くあった(笑)正月三が日はあっちこっちで毎晩(時々昼間も)打ち上げています。新年は家族が集まって過ごしますが、ロシアでは宗教的には違う暦を使っていて、正式なクリスマスは1月7日、つまりイブは6日です。そこから換算した旧正月である14日も祝日に定められています。
6日は悪魔が最も力を得る日だと言われているようです。だから7日は神様が最も強い日なのかな?よく分かりません。
ロシア人にレイシストはほとんどいません。
共産主義が徹底した為なのか、元々なのか分かりませんが、とにかく合計7回の訪露経験の内、東洋人だからという理由で嫌な思いをしたことはありません。私は普通の観光客が行かないような、かなりローカルな場所や街に行くこともありますが、アジア人だからと胡散臭い目で見られたことやそういう雰囲気になったことは全くありません。ある街に観光したときなどは私以外アジア人を全く見かけなかったのですが、それでも行き交う人々は私に別段気を止めるでもなく。それどころか妖精のような可愛い女子大生が私にくっつくようにして(耳元で!)ロシア語から英語に翻訳してくれたので天国でした(笑)。
その上大半が親日です。日本を何とも思わないという人はまれにいましたが、日本が嫌いな人には会ったことがありません。前のブログに書いたとおり、ロシア政府はロシア国民を代表していません。故にロシア政府の態度イコールロシア国民の総意ではありません。多分、アメリカ人よりも熱烈に日本人に対して好意を持っていると思います。
ただ、中央アジアから出稼ぎに来ているアジア人はやはり多く、低賃金労働をしています。工事現場とか飲食業に就労している人が多いようです。ただ、彼らの仕事の様子を見ている限りは、他の欧米圏で見ていたような投げやり感を感じません。ファーストフード店でも日本の店と同じように真摯に接客をしています。労働の質が高いというのか。
モスクワや大きな街では中央アジアから来たとおぼしきロシア連邦民を見ますが、それなりに身なりをきれいにしていれば少なくとも私が米国や豪州で感じたような奇異な視線を集めたり、差別されるようなことはいようです。
作家アントン・チェホフの生家がある場所にて。みんなで輪になって踊る。インド人らしき人を1家族見かけた以外、アジア人は私と息子だけだった。
長く共産党政権が続いたため、人々の宗教観は薄れてしまったのかというとそれはもちろんNoです。
ロシアに変わって最初に再建されたのがロシア正教の大本山であるこの救世主ハリストス大聖堂でした。クレムリンのそばにあります。ソ連時代は取り壊されて市民プールになっていたそうですが、ロシアになってすぐに再建されました。白亜の巨大な寺院です。これのみならず、長らく放置され荒れていた街々の教会も一斉に修復されました。今でもよく修復中、再建中の教会を見かけます。今でも決して財政的に豊かではないはずですが、市民が寄付したり、市などが補助してくれるのでしょう。
どの家の中には東西南北にロシア正教の御札が貼ってあり、家のどこかには必ずイエスやマリア、聖人のイコンを飾った神棚?が据え付けてあります。会社にもあるところが多いようです。彼らはものすごく信心深いわけではなく、何気にさりげなく信心深いのもなかなか好感が持てます。
救世主ハリストス大聖堂
友人宅の神棚
今回、築150年の家を訪れました。今は納屋として使っていました。そこまで古いロシアの家に入ったのは初めてでしたが、不思議とたまらなく懐かしい感じのする家でした。冬はここで一日ずっといても飽きないと言うのか。ロシア人の気質や家の造りを見ていると、似ているものがあるのかも知れません。
築150年の家。友人の奥さんの曾祖父の代から住んでいたそうです。
平成二十九年睦月十二日
不動庵 碧洲齋