不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

尖閣諸島に想うこと

*あくまで私の独断と偏見で書かれています。ご了承下さい。

尖閣諸島海域で実際に戦闘が起ったら、まず間違いなく日米がかなり圧倒的に勝つことは眼に見えている。故に中国は本気で介入しないにしても挑発的になっている。そして介入できる隙をうかがっている。

しかし日米が勝った場合は短期的には日本は経済的に苦境に立たされる。中国市場から閉め出されるためだ。この間に中国から他にシフトすることができるなら、これはこれで日本が中国のくびきから解放され、無駄やムラの多い中国への投資が他国の、しかも友好的な国々へ再投資できる。今、東南アジアに再投資できたらもっと安くしかも中国製より遥かに高いクオリティーで物作りが可能だ。

また、紛争が起った場合、他国がどのように出るか、たぶんこれで日本の対中国政策が決まる。他国が中国では儲かるという悪夢に浸ったままか、悪夢から覚めるか。世界が中国の悪弊に対して協力して対抗すれば、清末期のように国家の体を為さないような乱れ方もあり得る。その場合は日本も相当な覚悟が必要。世論がそれでも中国市場に味方するのであれば、日本は更に転落すること想像に難くない。

どちらにしても、徐々に中国市場から離れなければいけないにしても、急な変化は今の日本経済がかなりダメージを被ること間違いない。

日本が勝っても負けても(負けないと思うが)、短期的には良いことはひとつもない。逆に長期的ならわざわざ戦争をせずとも良い。戦争になるとすれば、日本人がこの泥沼の不況に対してリセットするつもりがあるのかどうか、ということ。短期的とはいえ、一旦火蓋を切ったら、戦後最大の大不況に見舞われることは想像に難くない。かなり甘く見ても5.6年は大不況、尾を引いたら10年ぐらいは経済的に大没落するかも知れない。我々国民が大きな損害を被ることは火を見るよりも明らかだ。

短期的、長期的とわざわざ使ったのは日本の回復力。国家として観た場合は、やはり日本は経済大国なので、発展途上国とは比べものにならない、欧州の一国家とも全く格が違う。故に一旦どん底まで落る、というのが短いながら数年、10数年はどうしてもある。しかしまたリセットされたら、今度は昇るだけ。その時に生き残った日本人の真価が発揮されるというものだ。

戦争などと言う日本人には強すぎるショック療法を与えたら、あるいは30年後ぐらいは、人口もゆるやかに回復し始め、経済力でも恐るべき速度で回復し、今度は軍事力をも堂々と展開するかも知れない。そうしたら今度の仮想敵国はもしかしたらまた、アメリカになってしまった、ということはあり得る。アメリカは先の大戦でそれがいやだから日本人の軍事感覚を去勢状態にしたように思うが、ここでアメリカが適当に手を抜いたら日本人は戦後の甘美な夢から目覚めてしまうような気がする。息子には悪いが、中途半端な平和なら、どん底に落ちて、また日が昇る日本を見て欲しいとも思わなくもない。

68年目にしてまた、戦死者が発生する事態になった場合、日本人をまた、目覚めさせてしまうかも知れない(いや、すでに永遠の眠りについているかも知れないが)。また、中国政府が経済的な制裁を日本に掛けた場合、中国も大混乱になるかも知れない。戦争とは言っても中国人たちがいつ自分たちの政府に矛先を向けるか、分かったものではない。

大震災での中国人の混乱ぶりや、昨今の中国国内の弾圧や理不尽な政府の対応を観るに、尖閣諸島での中国の挑発は膨らみきった風船に針を当てるようなものだと思う。爆発することだけは分かっていても、何がどう出てくるか分からない。私は中国史が好きなので、前例に求めるなら、中国では普通、前王朝は完膚なまでに否定される。継続はあり得ないのが通例だ。中国が一旦大混乱になったら、これまた世界中が大迷惑する。13億のうち、何億人かが海外に高飛びするかも知れない。それに比べたら北朝鮮難民の数などかわいいものだ。

しかしながらそれでも中国が攻撃的なのは、北朝鮮や韓国でもおなじみの手法(アメリカでもよく使っていた)、国内の不満は他国を攻撃することでストレス発散させる、という方法だ。しかしながら昨今の中国政府の統治方法を見るに、この方法もあまり効果がなくなってきているのではないかと思わなくもない。インターネットが普及したおかげで、いくら情報統制しても外国から情報が入り込んできているのは間違いない。

日本も一旦哀れなほどにしおれるにしても、リセットされた日本がどんな姿になるのか、誰もが興味を示すところ。アメリカ辺りはできたら観たくもないのかも知れない。しおれたままなのか、戦前のような気概ある国家になるのか、私にも分かりかねる。息子にはそういう状況でも生きていけるように育てているつもりではある。

既に戦争をしていなくても中国は日本人に戦後最大の緊張感を与えてしまったことは大失策だった。危機感を持った日本人がどんなことをしてきたのか、日本近代史、戦前ぐらいまでをよく学んだ方が良かろう。すでに中国人には大いに不利となるスイッチを入れてしまった感はある。

と、私の独断と偏見で随分適当なことを書き連ねてしまった。私はどんな場合も戦争は支持しないが、一旦急あれば一国民としての義務を最大限に果たすつもりでもある。

書いてある内容に関しては素人が書き連ねた程度なので、思うところがあってもご容赦願いたい。

平成二十五年正月十六日

不動庵 碧洲齋