不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

2011-09-10から1日間の記事一覧

【 聖者と盗賊 】 4

4. 祈り 十字架を立てられると、別の鈍い痛みが襲った。 しかし、あいかわらずどこから来る痛みかはっきりしなかった。 すでに全身に痛みが駆けめぐっているかのようだった。 ラビは苦しみに耐えながら何かをつぶやいていた。 盗賊は何とか聞き取ることが出…

【 聖者と盗賊 】 3

3. 十字架 数日後、とうとう盗賊は捕まった。 夜、またザカルとアンナの家に盗んだ金を届けようと一人で歩いていたところ、先日金を奪った男と出くわしてしまったのだ。 すぐさまユダヤ兵が駆けつけ、盗賊を取り押さえた。 盗賊は反抗しなかった。 今までも…

【 聖者と盗賊 】 2

2. シロアムの池 ある日、盗賊は過ぎ越の祭りに備えてシロアムの池で水浴びをした。 シロアムの池の周りには多くの不具者がいた。シロアムの池で最初にさざ波があった時、それは天使が降りてきた時だと言われ、その最初のさざ波に触れた者の病は癒されるとい…

【 聖者と盗賊 】 1

序. 盗賊 盗賊は輪になって並んでいる手下を見渡し、それから輪の中心で跪いて震えている男を見下した。 最近、町で羽振りを利かせている、太った商人だった。彼は様々な方法で財を得ていた。 盗賊が一歩、男の前に出ると、取り囲んでいる手下から一斉に息を…

聖書と碧洲齋

基督教に関して、私が大きな影響を受けた方が二人います。 一人は三浦綾子さん、もう一人は遠藤周作さん。 特に遠藤周作の作品は極めて秀逸でした。 日本人に対して完璧なほど、基督教のドグマを説明できていると思います。 海外では賞賛と批判が半々だそう…

基督教と碧洲齋のこと

世界で一番名の知れている書籍は聖書だと言われています。 先進国で唯一のアジア国である日本では基督教徒は1パーセントにも満たないという事実は、他の先進国から驚きを以て見られていますが、逆に言えば民族の優秀さは決して宗教には依らないという日本人…