不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

兵馬俑展

現在、上野の森美術館にて「兵馬俑と古代中国展」が行われています。
私は9日と本日22日の2回、行きました。同じ特別展を2回行ったというのは今まであまり例がなく。
15歳の時に中国史にハマってからは古代中国関係の特別展はよく行ったものですが、今回のこの兵馬俑の展示品は素晴らしい。
兵馬俑自体は12体前後ですがそれでもその迫力に圧倒されます。古代中国人の身長というのは現代人かそれ以上に大きかったと言われています。
また、兵馬俑の兵士たちは本当に従軍していた兵士をモデルに作られていたようで、同じ顔のものがないそうです。
特別展自体は秦帝国と前漢王朝ぐらいまでの展示品が展示されており、大変嬉しいことに兵馬俑(つまり俑)と幾つかの展示品は撮影可でした。

私は正統派中国史マニアではないのでまずズバリ秦の始皇帝は昔から好きでした(笑) 私は始皇帝も曹操も35年以上前からファンです。始皇帝も曹操も最近になってマンガなどで取り上げられるようになりましたが私はそんなにわかファンではありません、筋金入りです(笑) ある程度冷酷だったことは否めませんが、逆に中国歴代王朝で冷酷ではなかった始祖の方が少ないものです。王朝創建時の皇帝は程度に差こそあれ、忠臣や家族兄弟親族を結構殺したり、驚くほどの住民を殺したりしています。それがずいぶん昔だったのと初の中国統一だったという事で始皇帝は結構な言われようでしたが、以前には誰も成し得なかったことをしたわけですから気宇壮大にして有能な人物だったと思います。
悪く言われたのは腐れ儒者どもがその後釜の前漢王朝を持ち上げるために必要以上に秦王朝を叩いたのが原因だと思います。
スターウォーズではないので、悪の帝国が栄えることはありません。
また中国では前振りのような王朝が事態を収拾して後釜の王朝が継承するパターンがあります。隋王朝-唐王朝などがそれです。これも唐王朝の正統性を強調するために隋王朝をぼろくそ言っています。
今の中国共産党政権も正当性を主張するためにそれ以前の政権や清王朝を叩いてます(ま、清王朝は漢民族の朝廷では無いと言うのもありますし)。もっと近いところではお隣韓国などでは大統領が替わるたびに前政権が徹底的に叩かれて大半の大統領が投獄されたり殺されたりしています。儒教国家と言うのはそういう因縁から逃れられないようです。

この特別展、時間ごとに予約制のため、それほど混んでいません。それなりに人は多いですが、じっくり見て回れる程度の人数に抑えています。これは大変助かりました。2回目に行った時は単眼鏡を持参しました。Amazonで1万円近くするものでしたが大活躍しました。国産でビクセンという望遠鏡の老舗メーカーの製品ですが、使った漢字ではさすが日本製という安心感がありました。小さいものを見るときなどは重宝します。

古代中国の木簡というのも初めて実物を見ました。
幾つかありましたが、印象的なのは女性囚人のための食料搬送に関する報告書などがあったのには感心しました。そういう人たちにもキチンと食料が届けられていたんですね。
あと矛、あの呂不韋が命じて官製工場の誰々が作ったと矛に書かれていました。呂不韋の名前が出るとは感動しました。
また兵馬俑ではたったの11体しか発掘されていない将軍の俑の1つが展示されていました。
甲冑は着てませんでしたが威厳があるんですよ、これが。さすが将軍って感じです。

この古代中国と兵馬俑展は多分東京以外でも巡回展示するようです。東京では2月5日までですが、幾つかの大都市でも順番に開催されるようです。これはかなりオススメです。

 

令和五年睦月二十二日

不動庵 碧洲齋

革ベルトのバックル。きれいな模様が彫られている。

青銅の剣、見たところ今でも切れそうな感じがします。

石弩の引き金部分、なかなか精巧な部品です。

 

戟。製造年と製造工場名と製造責任者名、そして呂不韋の命によって製造されたことが彫られています。これはまだ嬴政が皇帝になる前、秦王であったときに製造されたもののようです。

木簡、ほとんどが税や物流に関する数量、人数などの報告書になっています。

石弩兵

弓手、もちろん弓はすでに朽ち果てている

一般兵士、身長180cm以上はあります

兵馬俑で11体しか出土していない将軍俑、遠目に見ても威厳に満ち溢れています。

こちらは本物ではありません、撮影用に7割の大きさに作られたレプリカです。

兵馬俑と古代中国展

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