不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

新日本だけは「ない」

駅名によく「新越谷」とか「新大阪」というのがあります。

地名でも「新田」とかニュータウンなんちゃらというのもあります。

世界を見渡すと似たようなのはたくさんあります。

ニューヨーク、ニュージャージーニューメキシコニューハンプシャーは米国の州名です。メキシコを除いて、残りの三つは英国から来た名前です。

国名ではニュージーランドぐらいしかありませんが、それ以外、諸島名などでもニューが付いている地名はたくさんあります。

月や火星を開拓したら多分「ニューアメリカ」とか「ニューヨーロッパ」などが出てきそうな気がしますが、どうしても「ニュージャパン」というのはなさそうな気がします。

どの国にも伝統や歴史はありますが、神話の時代から国家元首たる天皇家ずっと続いている国は世界でも日本だけです。そして治めている土地も3000年近くずっと同じ場所です。治められている人民も人種的文化的にずっと同じです。

だから「日本」という国の場合に限って言えば、皇室と国土、国民が不可分であると、ずっと思っています。皇室がないところには「日本」はなく、皇室がなければ日本は日本ではなくなる。故に皇室とこの狭い日本列島が別れ別れになるという事もあり得ない。だから宇宙開拓があって、大勢の日本人が第二の開拓時代と言って飛び出した先に作った街には、きっと「新日本/ニュージャパン」とは名付けないような気がします。そもそも日本人はあまり大勢開拓民として行かない気がします。ある意味、明治時代の人間の方がよほど進取の精神に富んでいます。今の日本人は良くも悪くも飼い慣らされている気がします。これはこれでいかんですな。井の中の蛙です。

豪州で働いていたときのこと。

ニュージーランド生まれの女性スタッフがいたのですが、豪州人と結婚するに当って豪州人として市民権を変えました。ニュージーランドと豪州は兄弟国なので結構簡単に変えることができます。しかし私には大変衝撃的でした。国籍を変えるということは、何か信念がなかったら難しい気がします。先般、ノーベル賞を受賞された中村博士は研究費獲得などの関係で国籍を米国にしましたが、研究に人生を賭けている人であればできることです。日本人だったらイデオロギー的なものはもちろんのこと実利的な便宜を失うことに躊躇する人は多いと思います。

天皇家をずっと戴いている、地震や自然災害の非常に多いこの不便で小さな島国が、世界で一番古い国家と言うだけでなく、今に至っても世界でも2.3を争う経済大国で、世界的にも民度が高いと敬意を持たれていることには改めて驚かされますが、昨今、今上陛下の御宸禁を靖んじ奉らぬような蒙昧な言動が国民よりよく見受けられるに当り、日本人である理由をよく考えて日本人として恥じぬ言動をわきまえていきたいところです。

今月23日はまた、息子と一般参賀に行って、日本そのものである天皇陛下と皇室を拝し、息子に日本人であることをよく感じさせてやりたいと思います。これから世界はもちろんのこと、宇宙に出て働きたいと考えている息子には、ルーツを直接見させることはよいことだと思っています。

平成二十六年師走十三日

不動庵 碧洲齋