最後の二つは孫臏兵法の一番最後に位置している章です。
どちらも少し長いので、私の意訳文だけを掲載したいと思います。
積疏
積(集合)は疏(分散)に勝り、盈(充実)は虚(欠乏)に勝り、径(直路)は行(迂路)に勝り、疾(迅速)は徐(緩速)に勝り、衆(多数)は寡(少数)に勝り、佚(安楽)は労(労苦)に勝る。
だが、積は積なるがままに、疏は疏なるがままに任せよ。盈は盈なるがままに、虚は虚なるがままに、径は径なるがままに、行は行なるがままに任せよ。疾は疾に、徐は徐に、衆は衆に、寡は寡に、佚は佚に、労は労に、それぞれ然るがままに任せよ。
それら対立する事象は互いに変化し、転化する関係にある。故に積に対抗するに積を以てしてはならず、疏に対抗するに疏を以てしてはならない。
積疏は常に対立関係において捉えなくてはならない。敵が積なればこそ、疏に変転する可能性がある。
この章は最後から2番目のものですが、よく陰陽思想を捉えています。
易経などを読むと分かりますが、後世になると妙に迷信的になってくる陰陽思想も、成立当初は変に迷信的なものはなく、以外にあっさりしています。
この章も同じですが、転化発展というプロセスをよく表しています。
「積は積なるがままに、疏は疏なるがままに任せよ。」対立した事象とは言っても、あるがままに任せよと言う辺り、道家思想的でもあります。
むろんこの兆候は彼の先祖、孫武の兵法にもあります。
やはり真の勝利というのは人為的なものからはかけ離れているのかと思うのでした。
孫?兵法に興味のある方はぜひ一読し、孫武の兵法との違いを楽しんでみてください。
SD110902 碧洲齋