特に芸事に限った話しではありませんが、何か技術を伴ったことを継承する過程に於いて、私はなるべく「不立文字 教外別伝」を心掛けています。この「不立文字 教外別伝」とは禅仏教の言葉です。
文字通りのことですが、一応説明をすればこうなります。
不立文字
文字に頼らず、言葉から離れてひたすら修行することで悟りを直接体験するという意味。悟りの境地は文字や言葉では伝えれないものです。
教外別伝
師から弟子へ、心から心に直接の体験として伝えることが大切だということ。何事も自分の努力で体得して、はじめて自分のものにするという意味。
そう難しいことではありません。要するに動物の親が子供に教えている、あの様子です。感じにすれば非言語的コミュニケーション、英語で言えばnon-verbal communiction、ということです。
稽古に於いて言葉を尽して教える段階は確かにあります。しかしその時期を過ぎて尚、言語を拠所にして教えようとするとその人の進歩に弊害がある可能性があります。本来言語に因らない継承の方法、言葉を経由しない稽古の方法、これが本筋で言語はそのごく一部を補完するに過ぎない、その程度に考えた方がよさそうです。
私も稽古をするときはあまりしゃべらずにする場合が結構あります。それは相手が聴く耳を持たないという場合を除いては(笑)、相手が言葉のレベルを超えていると感じた場合。なるべく自分の動きを見せて相手に気付かせるように努力しています。
とはいえもどかしいとついつい、しゃべりすぎてしまうこともしばしば。なかなか自身の修行ができていないと思う今日この頃です。
令和弐年如月六日
不動庵 碧洲齋
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