不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

肇めと初め

昨日23日は息子と皇居に一般参賀に行って参りました。

去年は米国同門も連れて行ったのですが、彼は大変感激していました。直に天皇陛下のご尊顔を拝することができる貴重な機会なので、行ったことがない方、是非一度は行ってみて下さい。皇居内も普通は入れませんからなかなか得がたい経験です。

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旧字体は違いますが、新字体の「国」は玉が「口」に守られています。

玉は珠とか霊という意味ですが、戦前ならさしずめ「国体」皇室、厳密には天皇陛下という意味でしょうか。

よその国はともかく日本ではなかなか的を射た感じだと思います。

前のブログにも書きましたが、日本という国の場合に限っては天皇家とこの国土は切り離せない関係で、どちらがなくなっても日本ではなくなります。そこが人工国家と違うところ。

民をおろそかにするわけではありません。「口」と「玉」のスキマたる国民=「空間」がなかったら「口」に「玉」の文字が浮き上がってきませんから、やはり民も重要です。道家でも「無」とか「空」があるから、戸が用を為すと言ってます。まさにそうだと思います。ちょっとレイシストと思われそうですが、日本民族天皇家、この国土は三位一体なのだと強く思います。反日日本人ですら、海外に飛び出す人が極めて少ないことを考えれば、これまた明白です(苦笑)。

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「朕惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト宏遠ニ徳ヲ樹ツルコト深厚ナリ」

現代語訳にすると

「私(明治天皇)は、皇室の祖先が、遠大な理想のもとに、道義国家の実現をめざして、日本の国をお肇(はじ)めになったものと信じます。」

出典は最近回帰の兆しを見せている「教育勅語」。明治天皇が勅したお言葉です。

初代天皇たる神武天皇以下、今上天皇に至るまで125代、言うまでもなく日本の古さと共にギネスレコードです。明治天皇は皇室の先祖がそんな理由で日本という国を打立てたのではないかとお考えになったようです。

実際は分かりませんが、オレサマイズム丸出しのムラオサの一族がうん千年も生き長らえるほど、歴史は甘くありません。やはり初代や黎明期の皇室方の性根が天地の意に適った一族と認められているからだと私は思います。

エジプト文明ギリシャ文明もローマ帝国もすでになく、日本人が憧れた大唐帝国も滅んだのもずいぶん昔です。

跳んだり撥ねたり、オレサマイズム大爆発中のアメリカは、できたのはわずか238年前、日本では江戸時代、杉田玄白が「解体新書」を書き上げた頃、つい最近です。238年という長さは、江戸時代の約265年よりも短いのです。ご存じでした?日本からすればお子様国家です。

建国の理想はどちらの国も立派ですが、取りあえず日本の場合は2674年続いているので、アメリカもあと2000年とは言わず1000年ぐらいは続いた場合、これはこれで立派な国家と言えるでしょう。

息子にはミスター日本たる天皇陛下を直接、目にさせてやることは意義深いと考えています。私は右翼でもないしガチガチの保守系でもありません。(一応保守系もつもりではいますが、昨今の自称保守系のレベルというかモラルが今のルーブル安並みに低すぎるので積極的に自称したくありません)それでも息子は地球人である以前に日本人です。世界に出たとき、自分が何者であるか、しっかりと足場を固めさせる、そういう意味で皇室の方々のご尊顔を拝する機会を持たせています。若い世代は特にアニメの見過ぎで「地球連邦市民」と勘違いないし妄想しそうなので言っておきますが、厳しい現実として、あと2.300年ぐらいは「日本人」であるという地元意識は重要な意義を持つと考えています。

昨年も見かけましたが、台湾からの団体参賀グループの皆様、本当に頭が下がります。一体どんな組織なのでしょう。今度機会があったら声を掛けてみたいと思います。

外国人観光客が多かった。とてもいいことです。明らかに中国本土の観光客もいました。(でも芝生に入るのは止めようね・怒!)これもいいことです。直接見る、これ以上に間違いない体験はありません。ネット如きで非論理的なことをギャーギャー言い合っているのは愚かです。言ってはいけないと言うことではありません。悪いことは間違いなく悪いです。でもあちらはネットの制約や国家政策で自由が利かないと言うこと、残念ながら世界レベルで言うと道徳レベルがまだスタンダードに及んでないという事を鑑みて、大国の市民は対応すべきです。

息子はいつもながら大変感銘を受けていました。

去年はかなり早くから並んでいたので、結構前の方でしたが、今回は後ろの方で残念でした。

あと内親王殿下は眞子さまだけでした。愛子さまと佳子さまのご尊顔も拝したかった。

セキュリティは年々厳しくなってきてます。

息子はぽつりと「警備が厳しいってことは、国民が信じられてきてないって事だよね」と言っていましたが、残念ながらそうです。海外ではこのようなセキュリティチェックはごくありふれてますが、日本でこれをやるとやっぱり寒いというか寂しく感じますよね。

参賀の後、東京駅を通って有楽町駅近くで昼食を取り、近くで本を買ってから2人でスタバで本を読んで時間を潰しました。買った本は高倉健さんのエッセイ集。素晴らしかった!実によかった。すぐ読める本ですが、また読んでみたい。バイブルにしている人もいるはずです。年を重ねたらこういう感じの人になりたいと強く思いました。

14時から映画を観ました。ロシア映画で「ガガーリン」。かの人類史上初の宇宙飛行士、ユーリー・ガガーリンの話しです。今年はガガーリン誕生80周年記念なんですね。メジャーな映画館ではやってません。映画館もとても小さかった。

息子は実際にロシアに2回も行ったし、昨年の自由研究では人類初の有人宇宙船ボストーク1号も調べました。最初から最後まで息を詰めて観ていたようでした。

実はロシア映画を観たのはこれが初めてです。(ロシア語がほんのちょっとしか分からなかったのが本気で悔しい)かなり気に入りました。

日本人なら誰でも思っているはずです。ハリウッド映画の過剰すぎるぐらいのリアリティに欠けた演出や、セックス寸前ぐらいの愛情表現のどぎつさに辟易していませんか?ガガーリンを見た感じでは、愛情表現は日本のドラマ並だし、実際にかなり無謀なミッションだったにも拘わらず、映画そのものはかなり淡々と進められていました。大気圏の再突入が手に汗握るものでしたが、それでもグッと抑えた演出が逆にリアリティを感じました。

人類初の宇宙飛行士、ユーリー・ガガーリンは息子にとってはまさに神です(笑)。しかしその「神」にも奥さんがいて子供がいて友達がいて、苦しい思いをしたり、悩んだりしたことがあるという事実を、息子に分かってもらえました。

話の内容は多くの人が知っているもので、特に目新しいものではありません。ただ打上げシーンや地球を回っているボストーク宇宙船がリアルだった。そしてとても速い。また大気圏落下時のシーンも誇大な演出が無く、しかしとてもリアルすぎて緊張させられました。2回もモスクワの宇宙飛行士博物館に行って、幾つかの実物を目にした息子にはかなり現実味を帯びていたと思います。

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エンディングの最初に、このミッションの後に政治的な思惑で再び飛べなかったこと、ノイローゼ気味になったことについて、しっかりと書かれていましたが、この説明はやはり今がソ連の時代ではなくロシアの時代であることを思わせました。政治批判をしても咎められない、そういう自由の素晴らしさに気付いた観客はどれ程いたでしょうか。

息子もこの説明には注意したらしく私に説明を求めました。

私はその当時、米ソ冷戦時代には宇宙飛行士は国際政治の道具にも使われたが、今やISSは米露日そしてその他の国々の協力無しには運営が不可能だし、政治利用されることはほとんどない、だからお前は本当に恵まれた時代に生きていて、宇宙飛行士は必ず手が届く時代に生まれていると言うと、ほっとしたように笑いました。息子の宇宙飛行士への夢にブーストがかかったかな?

昨日は肇めと初めの話しでした。

平成二十六年師走二十四日

不動庵 碧洲齋