不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

大河ドラマのテーマ曲

父が死んでから大河ドラマは観なくなりました。

というかテレビを定期的に見なくなりました。

たまたま息子と観る、そんな程度です。

大河ドラマは毎年変わるので、そのドラマを見るとその年に起ったことなどが脳裏に浮かんできます。それがとてもいやなのです。

母が死んだ時は「元禄繚乱」が放送されていました。赤穂浪士の話しですね。

母は11月上旬に他界したので、ドラマはクライマックスに差し掛かる頃になるでしょうか。

この年のゴールデンウィーク前日に救急車に運ばれてがんと診断され、余命半年と言い渡されました。

私は丁度日本語学校を辞めて別の仕事になったこともあり、土日祝祭日は休みという、ようやく普通の生活が送れるようになりましたので、父と主に「元禄繚乱」を観ることができたわけです。それまでは1日15時間勤務で休日もほとんど無かったような生活でした。いわゆるブラック企業ですね。元社長といえば色々なことで起訴されましたし、その日本語学校も既にありません。自業自得でしょう。

ゴールデンウィーク以後、父は入院した母の見舞いにほとんど毎日、病院に行っていましたが、私が病院に行けるようになったのは転職後、ほとんど末期からでした。

元禄繚乱」を観ているとき、時々それとなく父の表情を窺っていましたが、本当にいたたまれませんでした。言葉にできません。

その翌年、「葵 徳川三代」でしたが、テーマ曲がよかった。というか悲壮感が漂うな悲しげな曲が、家の中ではぴったりだった、という感じでしょうか。今でも大河ドラマの中ではベスト3に入るのではないかと思います。内容はあまり印象には残ってませんでしたが。そうそうたる戦国大名が総出演したので豪華絢爛だったのは良く覚えています。最初の頃は黙々と鑑賞していたのですが、そんな中で父に結婚する話などをしたこともよく記憶に残っています。

息子が生まれた2003年は「武蔵」でした。

あの静かな曲もとても好きです。実家に戻った年でもあるので、再び父と大河ドラマを観ることができました。増えてきた家族に父は満足そうだったように思います。うちで飼っていた犬も大変喜んでいました。

一番沈む曲は「風林火山」2007年に放送されました。まだ序章だった2月頭に父が急逝したのですが、その年は惰性というか習慣というか、呆然と観ていた気がします。また、この年末は精神的にも崖っぷちにまで追い詰められて、今まで生きてきた中では一番ひどい精神状態でした。だからこの「風林火山」のテーマ曲は懐かしくもあり、嫌な曲でもあります。時代祭に出るとこのテーマ曲をよく聴かされますが、なるべく思い出さないようにしています。

それ以後の大河ドラマは最初の何回か観ているだけでほとんど見なくなりました。息子が大きくなったら見るかも知れません。息子とは一緒に見て見たいとは思います。20、30年もしたら孫と観ることもあるのでしょうか。全くイメージできませんが。

そんな事言いながら、大河ドラマのテーマ曲集をたまに聴くこともあります。第1作から龍馬まで揃ったものです。さすがにNHK、どれも素晴らしい曲が多い。ある意味想い出が浮かんでくる曲ですから、やはり優秀なのでしょう。

平成二十六年卯月三十日

不動庵 碧洲齋