この10年ほど、甲冑を着用して時代祭に参加するようになってからはよく殺陣を任されることとがあります。
胴着で行う殺陣とはまた違って、戦国時代を偲び想いを馳せるにはとてもよい経験です。
むろん、甲冑装着時の武器の繰法などもかなり参考になります。
これは現代においてはなかなかない経験だと思います。
私の殺陣のスタンスは基本、演武ベースです。
つまりウソくさい軽さ、軽妙さを用いません。
槍も稽古用とは言え白樫の重いもので、普通に命中したら大怪我しますし、太刀もまたジュラルミンではないのでそこそこ重い。その重いもの、動きにくいものを駆使して変幻自在な動きを演出します。
その為なのか、私が殺陣をやるときは拍手喝采と言うよりは静まりかえって息を呑むような雰囲気が多いように思います。個人的には軽妙なのが嫌いというわけではありません。実戦に近い方が引き込ませられるのではないかと思った次第。
胴着で行う当流の演武などは逆に軽妙さの方が多いのは言うまでもありません。これはこれでまた楽しいものです。
甲冑の殺陣では槍を使います。太刀は本当に脇役。動きにくい甲冑であの長い槍を変幻自在に遣いこなすのが要かと思ってますが、そうであればこそ個々の戦闘よりも大局を見渡す目附、太刀や脇差しをうまく遣う心持ちを考えられるというもの。
実際、別の祭りで模擬戦をした折、槍、太刀、脇差しを遣って3-5人と対峙したことがあります。うまく捌き、足軽が何人かいて、うまく動かせばまあまあ戦っぽくすることは可能だと思ったものです。
大袖鎧の時代では薙刀もよく遣われたそうですが、どうやって遣ったのでしょうか。正直考えあぐねてしまいます。
現代、ことここ4.5年は時代祭が雨後の竹の子のように増えてきています。地方の町/村おこしなどが主な理由ですが、やはり日本人としてのアイデンティティーを確かめる為のような気もします。欧州でもこのような中世の祭りはありますが、開催数などは日本の方が圧倒的に多いかも知れません。
時代祭はあくまで余興なので今後参加回数は多くはありませんが、年に1.2回程度、春秋ごろの甲冑殺陣はやってみたいところですね。
来たる5月18日埼玉県所沢市にて第3回滝の城祭りが行われます。
10時半からJR武蔵野線東所沢駅から武者行列がスタートして滝の城まで。午後からは滝の城にてこの城の物語劇が行われます。なかなかの迫力だと思うので、ぜひご友人ご家族お誘い合わせの上、お越しください。城跡は関東平野が一望できる、素晴らしい場所にあります。
平成二十六年卯月三十日
不動庵 碧洲齋