不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

ちょっと失望した・・・

あまり他流ののことをとやかく言ってはいけないというのが自分のポリシーなのですが、先日、「え"っ!」という位、失望した会話を聞いてしまいました。

いつもよく行っている公共施設での稽古です。そして彼らは私たちの隣で稽古をしています。

他流が見て、彼らがうまいか下手かはあまり関係がありません。現代における古流の稽古はそういう所よりも、そうなろうとする過程を重視しますから、基本、私はそんなに気にしません。時々うまい先生もいらして、そういうときは盗み見して参考にさせてもらいます。

ウィキペディアによると、その流派の特徴は以下の通りです。

「無駄な力を使わず効率良く相手を制する独特の力の使い方や感覚を会得することにより、また同時に“合理的な”体の運用・体捌きを用いて“相手の力と争わず”に相手の攻撃を無力化し、年齢や性別・体格体力に関係なく「小よく大を制す」ことが可能になるとしている。」

ロッカールームでの会話

門下生「それにしても最近は力を使う技をしなくなりましたね。どうもやった気がしないんですが・・・。」

師範級「昔はガンガン力で投げたりしていたんだけどね、本部道場で何件か訴訟沙汰になってから、力技を禁止するよう通達があったんだ。」

門下生「へぇ~そんなんですか。でも力を使わないで投げるなんて、無理ですよねぇ。」

師範級「そうだよなぁ~。」

とまあ、こんな感じでした。

衝撃的だったのは、師範級の方も本来力を使わないはずの流儀にもかかわらず、この門下生からの質問に何の異議も挟まなかったことに驚きを隠せませんでした。(門下生同士でこういう話をしていたことは前に何度かありましたが、師範級が堂々とそこまで言っているのは初めて聞きました)

正直、尊敬度がガクッと落ちました。

迷ったときは始祖や先達の言葉を思い返してみて下さい。

彼らの流儀、思想を顧みて下さい。

そしてそこからどのくらい離れてしまっているのか理解すれば、元の位置に戻りやすくなると思います。

平成二十五年師走十二日

不動庵 碧洲齋