不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

米国における銃規制について

今回の小学校襲撃事件はかなりショッキングな事件でした。それ以前にも学校襲撃事件は幾つかありましたが、今回は極めつけです。射殺されたのが5.6歳からの子供だからです。しかも5人や10人ではなく、大人を合わせて27人という、戦場だったらさしずめシルバースター勲章がもらえそうな人数です。正直、この事件を知ったときはめまいがしました。

米国では銃の購入は州によってかなり規制が異なります。店で身分証明書と幾つかの書類にサインするだけで買うことができる州もあれば、購入予約をした後に、1.2週間かけてある程度の身上調査を行われたりする場合もあるそうです。

しかし、中古品などの場合はそうでもなく、私はガレージセールで売っているのを見たことがあります。(20年前はガレージセールは日本人にとって非常に興味をそそるイベントでした)多分ですが、店に売ったりする手間暇が面倒だったのではないかと思います。銃弾などは本当に簡単に買えました。私も記念にコルト45口径の弾丸をカートンで買った記憶があります。(無論、持ち帰ったりは出来ませんが!)

銃規制の問題です。多分半数以上のアメリカ人は基本的には銃の所持には否定的です。驚くかも知れませんが、これはかなり間違いありません。ではなぜ銃を持ち、規制に反対する人が少なくとも51%もいるのか。簡単です。銃を規制すれば、まず銃を合法的に持っている人から取り締まられるからです。つまり犯罪を起こす人の多くは非合法に入手した銃で犯罪を起こすと言うことです。合法的に銃を所持している人から銃を手放したら、多分、非合法に銃を所持している悪人共が小躍りするわけです。

故に銃所持を廃止しても、段階的になるでしょう。一家に1丁が手始めとしても、それからどうする?人間の心理なら悪い奴らが先に銃を降ろさないとこちらも降ろさない。まあ、そんな感じではないでしょうか。日本と違って治安は悪いです。昨今、日本の治安もがた落ちですが、それでも米国に優ること数十倍。銃で撃たれて殺されるなど、宝くじ並みの確率です。

留学時代、私は常に出かける際はブーツナイフと棒手裏剣2.3本、バックルナイフなどを持っていました。幸いにも実際に使うことはありませんでしたが、使いそうになったことは何度かありました。(ま、そんなところに行った自分が悪いとも言えますな)このくらいアメリカはキケンなのです。

更に言えば、北の山奥などに住んでいたらグリズリーベアが出てきます。ちょっとした拳銃では簡単には死にません。やはり控えめに言ってもマグナムとか。いやいや本当です。私もモンタナ州でグリズリーベアに遭遇しましたが、38口径程度ではかすり傷でしょうな。

とはいえ、精神的な疾患が爆発的に増えてきている今日、銃が買えるという、先進国ではあまりお勧めできかねる商売はなるべく早めに止めさせることは肝要かと思います。今まで根幹的な銃の規制を後送りにしてきた結果、米国国内には多分何十億丁もの銃器があるはずです。これらを回収して廃棄するにはもしかしたら1世紀以上はかかるでしょう。(そもそも本格的な銃の規制法案ができるまでさらに何十年かかかるでしょう。

哀しい現実ですが、人類が火器を手にしてから成功した、国家的ガンコントロールは今のところ世界で一カ国だけです。それは戦国時代から後の日本です。世界でも日本だけが戦国時代以後、火器を自ら大幅に減らすことに成功した唯一の国家です。運がよかったのか、何なのか分かりませんが、ガンコントロールに成功した日本から見て、今のアメリカはあまり豊かだとは思えません。

それでも素晴らしい未来を奪われてしまった幼い子供たち(しかも彼らは世界で一番、豊かだと言われている国に住んでいた!)を想い祈って、人々がより平和に暮らせる方法を考えて実行して欲しいと切に願います。

亡くなった子供たちに深い哀悼の意を込めて!

平成二十四年師走十八日

不動庵 碧洲齋