不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

やっと観られた、宇宙戦艦ヤマト2199

先日、ようやく新しく買ったパソコンの環境が整い、「宇宙戦艦ヤマト2199」を息子とネットで観ることができました。

何から感想を言ったらいいんだろう・・・

とにかく素晴らしい。PVは観ていましたが、それでも想像以上の出来映えだった。

冥王星会戦。地球連邦艦隊がとてもリアル。日本艦隊であることがリアルに分かる。モニター画面にも日本語を使った表記が多々あり、「和」をそれとなく強調しているところが最高によかった。これが英語だったら「あ~あ」だったことだろう。

この会戦の場面を考えた人は多分、昔出ていた、1-3巻セットの小説「宇宙戦艦ヤマト」を読んでいたと思う。うろ覚えで申し訳ありませんが、そこの記述に「装甲と火力ではガミラス軍が勝っているが、操艦技術や射撃精度では地球艦隊が優れている」とあったのを覚えています。確かに操艦技術は「きりしま」にしても「ゆきかぜ」にしても「おおっ!」っていう感じでした。

用語や雰囲気もよく日本人の艦隊プラス海上自衛隊の色がよく出ていました。昔の海軍では艦艇が大きくなるほど規律が厳格で、小さいほど緩やかになります。駆逐艦などは乗組員全員が家族のような感じになると言います。その感じがよく出ていました。

「ゆきかぜ」が単艦突撃する際にみんなで歌っていた歌、あれは地球連邦軍の軍歌でしょうか? きっと、地球人類が宇宙開発に乗り出した頃に作られたのだと思います。勇ましいものではなく、どこか牧歌的な感じのメロディーが逆に悲哀を感じました。「ゆきかぜ」の最後は涙が出そうになりました。後で調べたらこれは軍歌ではなく、宇宙の船乗り達の歌だそうです。軍歌でないところがやはりよく考えられている、と思った次第。

神に祈るでもなく、勇み立つでもなく、戦いそのものになりきる。勝負を戦いの外側に置く。この境地は残念ながら日本人にしか分からないでしょう。

この冥王星会戦だけでも大変見応えのある場面でした。

沖田提督の気迫、私は長く納谷悟朗さん以外、絶対に出せないと思っていましたが、今回沖田提督の声を担当することになった菅生隆之さんも十分に迫力がありました。台詞の一つ一つに力がありました。パソコンのモニター越しでもその気迫に圧倒されました。本当に沖田艦長のような方がいたら「死んでくれ」と言われたら何の疑問も挟まずに死ねそうです。東郷平八郎元帥もこんな感じの人だったと思います。

親友の土方さん、後輩の山南艦長もいい味が出ていました。特に土方さんシブすぎ。土方さんがヤマトの艦長でもイスカンダルから戻ってこられそうです。

今回よかったと思ったのは、名もない兵士達の描写にも力が入っていたこと。作中端々に兵士達の喜怒哀楽がよくちりばめられていました。また、メインキャラたちの生活の間も描写されていたこと。山本さんの部屋では仏壇があって、同僚が線香を上げていたり、古代の部屋ではお兄さんの遺影が飾ってあったり、島の弟が「航宙安全守り」なんていう御守を手渡したり、生活の臭いがしてくる感じでした。特に古代の部屋。よく見ると二段ベッドでした。多分、お兄さんと同じ住まいだったのでしょうか。旧作ではポツポツ出てきたキャラも、新作ではちゃんと最初から出ていましたね。いやはやよく練り込まれています。

いわゆる「ヤマト計画」も旧作に比べてずっとリアリティがありました。このくらい入念な計画ならあり得ます。旧作では一体いつ、そんな早く波動エンジンを作れたのかと思ったのですが、こういう話しなら現実味がありますね。

今回は女性が多くなったことは、さすがに70年代とは隔世の感ありです。また森雪の性格も、もっとキャリアウーマン指向に変化していたように思いますが、それだけにリアリティがあります。まあ、出てくる女性キャラはみんな美人か可愛い系でしたけどね。

今回、ヤマトの設定は沈没した大和を利用したのではなく、沈没戦艦に偽装して建造したそうです。(本物の大和は完全に轟沈してしまって、艦体が分断してしまっているみたいですからね)全長も大きく、333メートルだそうです。東京タワーと同じか。乗組員も大幅に増え、999人だそうです。そうですよね、さすがに144名じゃ少なかったと思いますよ。

感心しまくったのが、艦艇のデザイン、ほとんどいじっていません。また、効果音もほとんどそのまま。それだけに旧作を良く知るファン達には最小限の違和感で入れたのではないでしょうか。

キャラだけは結構変わったりした人もいましたが、それはそれ、女性の役割が広がったので仕方ないと思います。

第一章を十分に堪能したら、次のを見てみたいと思います。

平成二十四年葉月二日

不動庵 碧洲齋