不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

華人 - Chinese people

かつて孔子は評判のよい人であっても評判の悪い人であっても必ず自分が直接会ってから評を下したと言われています。これは当時であってもエラく効率の悪い方法だったことでしょう。しかし現代に生き、デジタル技術に頼り切っている私たちにはなかなか的を射ている警句ではないでしょうか。

初めて中国に住んで、生活をして、仕事をしている中国人たちと会ってきました。そこで思ったことなどを綴ってみたいと思います。

ホテルにて。

最初に泊まった上海郊外の4ツ星ホテルにて。

2日目、たまたま部屋の清掃をしているところに出くわしました。

多分50歳ぐらいの女性でした。一生懸命にベッドメーキングをしている横顔を見ていると、死んだ母を思い出しました。生活のためでしょうか。子供の学費のためでしょうか。街では1.2を争う高級ホテルに勤められたのです。懸命にならないわけがありません。少しすると私に気づき、何か話しかけてきました。多分、遅くなって済みませんというようなことだと思いますが、言葉が分からないのでほほえんでお辞儀をしました。そして「謝謝」。彼女の仕事をしている横顔も、話し方もとても品があり、穏やかでした。

もう一つは上海のホテルで。こちらも高級と言っていいホテルですが、驚いたことに20代前半の若い女性が部屋の清掃をしていました。同僚曰く大学卒業後、仕事がなくてこの仕事をしているのだとか。この時も一度だけ作業中の姿を見ましたが、本当に一生懸命に働いていました。やっと大学を出たのにこんな仕事をしている自分に腹立たしいのでしょうが、少なくとも私にはとても礼儀正しかったように思います。

私はいつもですが、海外のホテルに泊まったときは必ずなにがしのチップを置くことにしています。そしてその国の言葉で「ありがとう」というメモを残します。今のところ英語以外ではドイツ語とロシア語と中国語だけですが。やっぱり他人の部屋の清掃をちゃんとやってくれる人には心から感謝したいですね。

カフェの給仕係のスタッフも皆若い人ばかりできびきびと動いていました。コーヒーも入れ、片付けも手際が良かった。服装や表情など、なかなかいい雰囲気を持っているように思えました。

現地工場にて

事務方のスタッフは手前味噌ですが、なかなか優秀な人が多いように思いました。英語ができる人はいなかったのですが、日本語ができるスタッフが数人いるということは結構大変なことだと思います。特にうちのような安月給で!工場に滞在したのは短い時間でしたが、中国の職場の雰囲気が分かりました。何と言っても皆若い。日本の本社なんておっさんばかりです。

夜、幹部たちと会食をした後、2次会チームと呑めないチームで別れました。私は呑めないので他に中国人3人と共にホテルのラウンジでお茶を飲みながら語り合いました。偶然にも妊娠中1人(この人が一番日本語をよく話す)を含めて皆既婚組で子供がいます。今考えると色々熱く語ったと思います。日中間のこと、日本の教育のこと、文化のこと、仕事のことなど。3人とも比較的よく日本語が分かる上、1人は抜群に日本語が分かるので、意思疎通は良くできたと思います。これはとても大きな収穫でした。

ただ、展示会で見ていた限りでは、やはり接客の何たるかが分かっていないようにも思いました。しかしもしかしたら対応に神経を研ぎ澄まさないのが中国流なのかも知れません。ミスに関して、やっぱり中国人って謝らないんですね。(日本語がうまいスタッフはよく謝ります、なので違和感がないのです)

現場の作業員も皆若いです。しかし中には字も書けない人も入社するのだとか。これはちょっと驚きです。日本では重度の知的障害でもない限り読み書きはできますから。読み書きができればいいと言うものではありませんが、素養があっていけない理由はありません。この辺り中国の皆さんには努力して欲しいところです。

日本人スタッフの嘆き。言われたことは取りあえずちゃんとやります。・・・が、それだけ。よりよくするとか、言われたことの意義や理由、その効果や目的などを多角的に考える能力が著しく欠如しているそうです。展示会でのスタッフの挙動を見る限り完全に納得します。これは中国の教育の悪い影響ですね。

街中にて

皆さん新聞配達員並の早起きです。6時に散歩をしましたが、すでに食堂は開き、朝食を普通に取っている人たちがたくさんいました。色々な年代の人たちが朝早くから忙しそうにしていました。このようなところにチャイナパワーを感じます。日本人ももっとガンバって欲しいところです。でも車の往来の激しい、広い道路を赤信号でも渡るような無謀さはやめて欲しいですね。それと清掃員が非常に多い。だったらやはり国民の皆様の資質を上げた方が長期的に見ると良さそうです。

バスに乗り込む時の無秩序ぶりを見たかったのですが、そんなにひどいのはありませんでした。電車にも乗ってみたかったのですが、機会がありませんでした。リニアモーターカーが展示会場近くを走っていたので、一度だけちらっと見ましたが、感想を述べられるほどではありません。

会場から帰るとき、後ろに並んでいた女性2人が私たちがちょっと話している空きに前に割り込んできました。1人の女性が主導していて、もう1人はどちらかというと引き留めていた感じです。私は引き留めていた方の女性を思いきり蔑んだ眼で見つめ、苦笑をすると、赤らめてもう1人の自己中同僚を引っ張って後ろに戻りました。こういう時はそれでもまだ、日本の同世代の方が若干マシだと思うときです。しかしこれが恥ずかしいことだと分かっている人がいることも安堵しました。

割り込みと言えば別段中国人だけではありません。ホテルのロビーにいたとき、中年の白人女性が中国人の前に割り込んできて強引に先にタクシーに乗ったのを見ました。欧米人でも自己中は結構います。

帰国前最終日の午後に行った豫園、皆商魂たくましかったです。750元をふっかけておきながら、結局200元で折れるという辺り、とてもとても誠実とは言い難いですね。そして山寨商品。ほとんど病気ですね。しかし店員たちは皆商売熱心です。若いオーナーもいました。日本でももっと若い人が色々なことにチャレンジしてくれたらと思います。

SD101201 碧洲齋