不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

電子書籍について

我が家ではテレビを録画することがほとんどありません。元々余りテレビを観ないためでもありますし、録画してまでも観ようという気が起きてこないということもあります。好奇心がないと言うよりもそれほどつまらない番組ばかりだと言うことでしょうか。

近年、飛躍的に機能と性能が向上した録画機能について疑問に思うことがあります。これらを十全に駆使している人が一体どのくらいいるのでしょうか。タイマー録画ぐらいはするのでしょうけど、それ以上の機能を一体どのくらいの人が使っているのか、知りたいところですね。

そもそも人は限られた時間で生きています。録画して後で観る、というプロセスは時間を繰り延べているだけで、結局どこかでつっかえてしまう気がするのです。少しぐらいならタイマー録画はあり得ると思いますが、例えばそれを何度も観たり、貯めて観るということが果たしてどのくらいの頻度であるのでしょうか。

電子書籍についてです。人が一生のうちに読める本の数は限られています。IT機器のメモリに書籍がどれほど記憶されていようと余り関係ないと思います。また、紙であれば落としても問題ないですし、電池の心配もいりません。書き込みも電子書籍よりも遙かに簡単にできます。

また、書籍に対する価値観は日本と欧米ではかなり異なります。(東洋と西洋とは言いません。中国や韓国では残念ながら読書時間が減っているこの日本よりも遙かに本が読まれていない上に、蔵書率も驚くほど少ないのですす) 欧米ではペーパーバッグという類の本がありますが、週刊雑誌に使われる程度の紙で綴られた本が一般的です。日本では例え文庫サイズの本でもそんな本よりは遙かに質の良い紙を使っています。書籍に対する価値観なのでしょうか。文字に対する敬意なのでしょうか。分かりません。そういう意味で電子化に抵抗を感じる人は多いと思います。

電子書籍の利点はもちろん認めます。そしてこれから欧米のようにとはいかないと思いますが、飛躍的に増えていくと思います。結果、読書をする人が増えたら、それはそれで良いことだとも思います。ただでさえ文字離れしている現代です。電子書籍で昔の文学の良さが再認識されたらそれは大きな功績でしょう。35%ぐらいは郷愁で紙の本がいいと言っているだけです。紙の本には記憶があります。デジカメの画像は永久に劣化しません。だからそこには記憶を埋め込むことができません。印画紙の写真がいいのか、デジタル画像がいいのかは未だ以て分かりませんが。

数年前に約3000冊の書籍を処分して、今手元にある約100冊ちょっとは多分電子書籍に替えがたい本ばかりです。もしかすると今後、紙の本と電子書籍の割合はこんなものになるのかも知れません。宇宙に行けるぐらいの未来には生きたいですが、紙の本が駆逐されてしまうような未来までは生きていたくないというのが私の本音です。

SD100602 碧洲齋