不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

私が見た朝鮮人

インターネットで一番怖いなと思うのは、インターネットの情報がとても多く、しかも正確なような気がしてしまうあまりに、実体験として経た経験でないのにあたかも実際に体験したと錯覚してしまう点です。

私たちの寿命相応以上の体験はできません。そして自分の信念以上の行動もなければ、志以上の覚醒もありません。いつ果てるとも知らぬ寿命の間に自分なりの信念を持ち行動し、抱いている志以上の高みは気付かないと言っていいと思います。もちろんそれは日々高くなりつつあるものであると信じたいところです。

隣国の話です。

朝鮮半島に住んでいる民族としての朝鮮人、国籍を隔てて韓国人、北朝鮮人、更に日本在住している両国の国民。こんな風に書き分けるかも知れません。

正直に言って昨今の言動を見る限り、中国と韓国の国民にはかなり辟易します。ハッキリ言うととても嫌悪感を持ちます。彼らが信奉して止まない儒教の原典、論語には「己の欲せざるところ、人に施す勿れ」とハッキリと書かれているのに、こうまで粘性の嫌がらせをする辺り、私は彼らが本当に孔子の教えを守っているとは思えないのです。

しかし私が朝鮮人たちについて語るとき、とても困ることがあります。それは私が朝鮮半島に行って、そこに住んでいる朝鮮人と語り合ったことがないからです。今のところ行く気も起きませんが、世界で2.3しかない反日国家の一雄、韓国に行かないのはどうしたものかと思いますが、とりあえず仕事でもない限りは行きたくありません。私が知っている朝鮮人は海外での韓国、在日朝鮮/韓国人だけです。

繰り返しますが、今の朝鮮人たちの性情はとても好感が持てません、が上記のように海外で知り合ってきた韓国人を評価すると・・・とてもいい人ばかりでした。・・・全くとは言いませんが、日本人といくらも変わらないほどだったと記憶しています。米国留学と豪州赴任は20世紀末、サイパン島やその他の海外で主に仕事などで知り合った韓国人、どれもそんなに嫌な人と会ったことがないのです。

留学中や赴任中では心から日本に憧れている青年や、慈悲深い文字通りの「オモニ」。明るくて美人が多い韓国人の女の子たち。礼儀正しく日本語の達者な老人たち。私の体験と毎日のウンザリさせられるようなニュースのギャップに、いつも悩むものがあります。たまたま私は運が良かったのか、行った場所が良かったのか、分かりません。しかし私はとにかく本気で腹が立ったり、嫌になるような韓国人と直接会ったことはほとんどないのです。

その理由について、色々考えてみました。

私が留学した90年代初頭は韓国人が自由に海外に行けるようになり始めたばかりです。もしかしたら割に上質の人だけが海外に行けたのかも知れません。確かに日本人と比べてお金持ちが多かったようです。留学中、発展途上国の留学生が驚くのは、日本人が思いの外お金を持っていないこと。つまり、発展途上国の留学生の大半はとってもお金持ちの資産家のご息女ご令嬢ですが、日本人留学生はごく普通の家庭がほとんどです。それは韓国でも同じでした。

留学時、私と同じ世代の人からは戦争中のことについて恨み辛みは聞かされた事はありません。あまり良くはなかったけど、昔のことだから。今は昔のことよりもこれからのことが、そう言っていた人が多かったように思います。そういう人も少数でした。とにかく台湾人と同じぐらいに日本に憧れていたようでした。一度だけ、短期間ルームシェアした韓国人留学生がいましたが、ぼろぼろになったトヨタセリカのカタログを持っていました。韓国では外車には乗れないので、留学したら親に頼み込んで(さすがに高い買い物のようです)アメリカでセリカを買ってもらおうと思ったそうです。(アメリカでセリカが買えるかどうか知りませんが)その時の彼のまなざしが忘れられません。ちなみに彼は航空会社のパイロットになるんだとか。世話好きで美人の彼女もいました。

アジア食材店の韓国人店主は今の私と同じぐらいの年齢だったでしょうか。夫婦揃ってとても日本人留学生には親切でした。街でレストランに食材の配達を見かけると、手伝ったりもしましたが、逆に店に行くと彼のおばあさんがただでキムチなどをくれました。おばあさんは併合時代の人で貧農に生まれたものの、日本人のおかげで読み書きもできるようになり、戦中戦後の大変な時期もありましたが日本人への恩は忘れたことがなかったといつも日本語で言っていました。逆に私が信じられなかったぐらいでした。

その後、豪州に日本語教育関係で赴任した折もやはり同じでした。アジア食材店の韓国人は皆親切でした。戦争のことなど持ち出す人もなく。日本語学校に日本語を学びに来た韓国人は皆、日本で罵詈雑言を浴びせられるような人はいませんでした。日本語がかなり良くできる韓国人とも良く歴史の話もしましたが、全て肯定することはないにしても、軍隊が婦女を拉致したとか、強制労働させたとかはほとんど聞きませんでした。ただ気に掛かったのは本国では自由に話せないのが苦しいと言うことでした。

日本語学校を辞めた後、ITコールセンターの派遣で働きました。当時は改革前だったので派遣とは言え技術職はかなり実入りが良く、今の収入よりも良かったかも知れません。そこに同僚として在日北朝鮮人がいました。彼は朝鮮大学で理工学系博士号まで取ったにもかかわらずどういうわけかしがない派遣業をしていました。

そこで初めて、北朝鮮側の意見を聞くことができました。意見としては普通です。政府はちゃんと正式に謝罪をすべきだ。靖国神社A級戦犯分祀すべきだなどなど。決して嫌な人ではなかったのですが、歴史の話になると雰囲気的に「ヲイヲイ」と思うか、皆引いていたように思います。彼曰く、自分は在日4世だからどちらの国の国民感情もよく分かるとのこと。さて、どうなんでしょう。一緒に働いていた期間中、実は私は彼にお金を貸しました。10万円ほど。私には結構な金額です。曰く彼のお姉さんの婚約者が事故を起こしてお金が必要なのだとか。全然意味が分かりません。保険は出ないのか、保険には入っていなかったのか。それを聞いても結局よく分からず。まあ、お金は3ヶ月後にちゃんと戻っては来ましたが、お金を借りるならもう少し歴史を勉強しなさいと言いたかった(笑)。お金は多分、本国にいる親族に届けるのか支援物資を送るのに使われたのだと思います。彼らは日本にいる代わりに本国の親族が人質となっているようなものです。その送る物資の量たるや、大震災の支援物資並みだそうです。そう思うと憐れみだけが先に立ちます。

サイパン島でも妻が日本語を教えた韓国人が何人もいて、その一人などは韓国料理店経営者でした。家族で店に行ったらただでごちそうをしてくれました。ショッピングモールでは小さな土産店を営んでいた韓国人の若い女性もいました。その一生懸命さに押されて(ま、美人だったというのもありますが)幾つか買ってしまったりました。生活は大変だけど、こういう素晴らしいところで働いて自活できる喜びがたまらないとのことでした。

私は幾つかの種類の幾つかの国際展示会にも行きました。そこでも韓国人たちとはやはり例えば欧米人よりも近しくなることもありました。中国人だと多少問題がありそうな会社もありましたが、韓国の会社の社員は皆優秀そうで私が話した限りではとても好感が持てました。

他にもまだありますが、要するに海外で会った韓国人で嫌な奴はほとんどいなかった、という事です。昨年だったか、ロシアの空港でエラくご迷惑な韓国人家族がいたと言うぐらい。それはまさしく日本のニュースになっているような韓国人ですが、このレベルは日本人にはいないのかと言えばはてさてどんなものか。

韓国に住んでいる、もしくは働いている、働いていた友人知人の話を総合すると、海外の韓国人とは一線を画するもののようです。いわゆるインターネットで出てくるような感じが少なからずあるそうです。韓国への観光旅行ではいいことが多いと思います。そもそもその国に観光に行くのと長期に亘って住むのとでは全く異なります。私もアメリカとオーストラリアしか知りませんが、それでも観光とは違った一面を知っているつもりです。

韓国国内では多分、皆が皆、分かっていても表面的には国策に反しないような言葉が飛び交っているのだと信じたい。日本が好きでアニメもよく観ている、日本のアーティストが好きでもそんなことはおくびにも出せない。日本人と付き合うといったら親族は皆うらやましがってはいるけど、表面的には卒倒して見せるのが体裁が良いとか、そんな感じでしょうか。よく分かりません。

韓国在住の韓国人が嫌な奴ばかりだとは思いません。本当にそうだったら交易が成り立ちません。多くは粛々と自分の義務を遂行しているだけです。また、韓国人だってケチを付けられない限りは好きに日本文化にハマっていても構わない、その程度の自由はあると思っています。ただし他人から質されたらそれを否定する、そんな感じではなかろうかと想像します(ちょっと複雑でしょうか)。日本人は全体的に見てしまう風潮があります。中国でもアメリカでも天才秀才は抜きん出て優れています。馬鹿者は日本ではあり得ない程の超低空飛行レベルです。日本人が優れている所以は粒ぞろいという点です。粒ぞろいの民族が全く揃っていない民族を見たとき、愚かな民族と見えるか、優れた民族と見えるか。或いはそういう見方をしないのか。あまり外国人と接する事がない方、ネットで反日が気になる方はこの命題をよくよく吟味して下さい。

韓国国民の大勢は多分、反日とは関係がない人だと思います。ネットにどっぷりはまっている人、閑な大学生、失業者、低所得者層、はたまたとてもストレスを抱えている人、そういう人たちが過激な反日活動にいそしんでいます。韓国の場合は不幸なことに、そしてとても珍しく、政府がそういった少数派の肩をかなり持つという点にあります。民主主義社会なら多数決のはずですが、韓国ではどんなに多くても49%以下であろう反日主義派の味方をしています。

思うに韓国は北朝鮮と常に臨戦対戦状態であるので、そういう緊張感を持たせたり、結束させたりするために日本をやり玉に挙げているのかとも思います。分かりませんが。元々中国も朝鮮もお上は絶対です。日本以上です。お上が言うことならと、盲目的になっているのかも知れません。

中国や韓国の国民が邪悪な民だと本気で信じてしまいそうな最近のニュースですが、もちろんそんなことはなく、大半は平和を望んで生活しています。彼らは良くも悪くも日本を手本にしたり乗り越える目標だったりしています。

そういう大局的、寛容な視点を持てず彼らと同レベルにどっぷりはまるとネット上では不毛な論争になってしまいます。日本人は日本人にしかできない高い民度を以て彼らに示し、日本人が骨の髄から優秀であることを示せば良いだけです。ましてや人口が減り始めて来た今、一人でもバカな日本人が出ると大変な事。広大な視野を持てない若者、慎重で勇敢な行動力を持てない中年、深遠な伝統を持てない老人、こういう人が日本人の価値を壊します。正直、今の感想は維新後から戦後まで死ぬ気で働いてきたご先祖様たちの遺産を単に食い潰してきているように思います。

また、和の民とエラそうに言いたかったらせめて隣国と仲良くできぬものか、と思います。これは日本人としては少々痛いところ。正しいとは思えぬ彼らの声の方が余計にデカイので、行いを慎むだけではなかなか世界に理解しがたい部分があることもまた事実です。

この辺り、私たち日本人はよくよく考えていきたいところです。

と、これが私が実際に会ってきた朝鮮人たちを踏まえての、私の感想です。

平成二十五年長月三日

不動庵 碧洲齋