紅貫かず
無垢ともつかぬ
桜木の
空に映ゆるは
妙の色なり
平成二十四年卯月吉日
不動庵 碧洲齋
毎朝、私は仏壇の前で般若心経を読経していますが、いつも「色即是空空即是色」のところでふと思い浮かべるのは、何を隠そう桜の色です。
無念無想で読経すべきなのでしょうが、よく桜の色を脳裏に浮かべます。
朱色と呼ぶにはあまりにも薄く、さりとて決して純白でもない、まことに妙なる色合い。
そしてその玄妙な色合いの中にこそ、あの例えようもないくらいの美しさが秘められています。
それこそまるで「色即是空空即是色」が具現化したものではないかとさえ思ってしまいます。
平成二十四年卯月十九日
不動庵 碧洲齋