不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

宇宙戦艦ヤマトのこと

実写版公開まであと2週間になりました。 私が初めてアニメ版を観たのは幼稚園の年中でした。 カッコイイロボットは出てこないし、妙に難しい話ばかりだし、地球は何故か赤いし、番組の最後には必ずなにかがカウントダウンされているし、よく分かりませんでしたが、宇宙戦艦というのが妙に気に入りました。そして衝撃的だったのはモデルとなった戦艦が実在し、それは自分の国の戦艦だったこと。写真を見たとき、軍艦というシロモノがこれほどまでに美しいものかと思いました。もしかしたら私が戦争に興味を持ったきっかけだったかも知れません。
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父が東映に勤めていたので、前売り鑑賞券は無料かかなり安く手に入ったようです。ヤマトシリーズの映画は全部観ました(他のアニメも)。一番最初の映画版は小学校2年生ぐらいの時でした。ヤマトが自爆したと言うことだけは分かりましたが、映画館ではラストシーンで周囲に座っていたお兄さんやお姉さんたちが皆、すすり泣いていたのがとても印象的でした。沢田研二さんの歌も良かったですね。「今はさらばと言わせないでくれ」だったと思います。最近何かで改めて聴きましたが心に沁みました。 10代は戦争や兵器にぞっこんで、いわゆる戦争マニアでした。(ヲタクではないと思います)20代は大和の愚かな使い方を冷笑していました。30代になって当時の首脳陣の無能さに呆れました。しかしこの歳になって、息子にいつも言います。 「戦争は絶対に起してはならない。戦争を止められるなら日本が滅ぶことはある。大和の意味はそういうことだ。でも負けると分かっていても絶対に戦わなければならないときがある。そういうときに戦わないのは本当の日本人ではない。」息子には常々、自愛精神と自己犠牲精神という矛盾した事を教えてきています。この矛盾にどう打ち勝つかは本人が大きくなったときに考えてほしいと思います。 軍首脳陣には日清・日露戦争時に比べると卒倒するほど頭の悪い人材しかいなかった大東亜戦争でしたが、一般庶民は避けることができない戦いに粛々と当りました。勝てるとか勝てないとかではなく、多分あのときは戦わなければならなかったのだと思います。 戦艦大和の戦いは悲劇的でしたが、宇宙戦艦ヤマトの場合はいつも不利な戦い、人類のツケを支払わされているように思います。 実写版、正直見所以外のCGはちょっと疑問を感じますし、キャストも・・・と思うところもなきにしもありですが、やはり宇宙戦艦ヤマトを観た世代としては「観なければならない」気がします。是非はその後にでもすればよいでしょう。 キャラの中で一番好きなのは俄然「デスラー総統」。国を救うために鬼になれます。何度も死線をくぐり抜けています。戦いは先頭に立ちます。何度も国を立て直しました。義理と人情にも篤いです。配下には優秀で忠実な人材がたくさんいます。中年のくせに?カッコイイです。中年でこのくらいカッコイイキャラは他に見あたりません。デスラー総統がいれば、日本を復興させることなど朝飯前です。圧巻なのは旦那、古代守もいる公衆の面前で「スターシア、私はあなたを愛しているのだよ!」と人妻にコクったこと。そして自己犠牲をいとわない行動!この歳になると痛いほどよく分かります、その心境。デスラー総統、やはりあなたは偉大な人だ。
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あ、ヤマトの話でしたね。 では・・・さらばだ、ヤマトの諸君! SD101117 碧洲齋