不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

挨拶のこと

実は「挨拶」という言葉はもともと禅の用語です。挨は「迫る」、拶は「切りこむ」こと。つまり師匠と弟子との問答のやりとりのことを指します。昔の人間は、コミュニケーションの発端を「認知、認識」するという生易しいものではなく、迫っていくぐらいの濃密なものだったんですね。英語の「greeting」も原義は「大声で叫ぶ、訪問する」なので、やはり「挨拶」と同じように迫力があったようです。

近頃は大人も子供も挨拶をしない人が多いと言われています。人間関係の希薄さとは無関係ではないでしょう。息子の保育園時代、送迎をしていると挨拶ができない親が多いことに驚かされます。幸い、その数は想像していた程度以下だったのですが・・・よくそこまで挨拶をしないで平気でいられるのか、感心したぐらいです。全部は見ていませんが、挨拶ができない親の子供を見ていると、やはり道徳観念や社会性に?と思うことが多くありました。多分これは正比例するのだと思います。うちの子供も挨拶こそしますが、人並みなので要注意です。特に私の場合は趣味の関係で僧侶や外国人、引いては私の両親ぐらいの年齢の方と会うことが多いので、息子にはやはりしっかりとした挨拶をして欲しいと思います。

挨拶だけで人柄は分かりませんが、挨拶でかなり分かることがあることもまた真です。子供たちにちゃんと挨拶させたいのであれば、我々大人がその範を垂れなければなりませんね。

SD100512 碧洲齋