不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

景気のこと

私の会社では昨年の今頃、パートやアルバイトをほぼ全員解雇して、今月までに正社員を全国的には10人前後を削り、しかも一時帰休まで取らされたほど、今回の不況は厳しいものでした。もちろん創業以来最大の不況とのこと。現在の社長は3代目、正直リーダーシップが誉れ高いとはとても言えません。残念ながら社員の中では3代の中で格段に評価が低いようです。

昨年と比べても大した意味はないのですが、取りあえず今年は昨年に比べるとけっこう持ち直してきたように思います。特に私が所属する海外部では生産が追いつかないほど。国内も軒並みどの営業所も昨年をずっと上回っているようです。(しつこいようですが酷すぎる去年と比べてもさほど意味はありませんが)もちろん平年と比べるとまだ7割から8割ぐらいでしょうか。今が丁度、底打ち状態のように思います。不況の谷を越えた辺りでしょうか。生産したくとも例えばエンジンなどはすぐにエンジンメーカーが増産できるわけでもなく。現場作業員も削ったので、増産も思うようにならず。ただでさえ海外のお客様には何ヶ月も待たせているのですから、早く国内全体が回復してほしいと思います。

今後はどうなるのか、先が読めません。別に期待もしていませんが。政財界に人はいないのかと諦めもあります。こんな時だからリーダーシップを取る人がいても良さそうなのですが、現実はマンガのようには行きませんね。ただ日本はこういう時でも他国に比べると本当に忍耐強いと思います。さすがに今回は非正規社員ワーキングプアなどなど、問題噴出ですが、少しずつ解決されていくものと信じたいところです。

幕末から終戦まで80年足らずでした。日露戦争終結から数えると40年です。日露戦争は幕末から終戦の概ね中間に位置しています。日露戦争大東亜戦争が声高に喧伝されているお陰であまり目立ちませんが、10倍する敵に対して艦隊の殲滅、海軍総司令官を捕虜にしたりと、近代戦争では輝かしい記録が生まれました。政治家にしても軍人にしても秀逸な人材が多数、活躍しました。東郷平八郎連合艦隊解散に当たって「勝って兜の緒を締めよ」と言ってわずか40年後、あり得ないような負け方をしました。戦争の記録を読むと日露戦争当時の軍人と大東亜戦争当時の軍人が同じ民族とは思えないことしばしばです。ま、超大国に2回も勝つと3回目はさすがに国家を挙げて気がゆるむと言うことでしょうか。

戦争が終結してから40年目は1985年です。いわゆるバブル景気になった頃でした。あまり言いたくないのですが、この例に当てはめると今からあと10-20年で日本は緩やかに壊滅的なことに遭遇するやも知れません。まあ、今の世の中ですから戦争というわけではないとは思いますが、日本の周囲はなにやらきな臭い国々がひしめいていますから、あながち戦争もないとは言えないのかも知れません。景気の善し悪しなどは一時のものです。グローバルに見ればヨーロッパからアメリカ、アメリカから日本、中国、今度はインド?と繁栄するのは時計回りのようです。それは大したことではないと思います。問題なのは強い経済という暖かい衣類をはぎ取られてもなお、中に何か着ているかどうかと言うことです。それが伝統美なのか科学力なのか分かりませんが、世界中コロコロ転がる経済などと言う博打のような分野ではなく、長い年月(これはお金では買えませんし、どの国も長い年月を経ているわけでもありません)のうちに培われたものを着て、暖かいジャケットを脱いでも余裕を持てるぐらいでいたいものです。これが私の今後の日本人観です。ちなみに数多く外国人と接してきて感じるのは、多くの外国人も日本人は「強い経済力がなくてもすごい民族であるはずだ」というように思っている人が多いようです。我ら日本人は経済という暖衣にしがみついて、みっともないところを海外諸国に曝さないようにしたいものです。その下に着ている衣類は確かに世界の尊敬を勝ち取れるほどの衣類です。ただちょっとほころんできているので、修繕した方がいいだけです。臭くなりすぎた暖衣をサラリと脱いでなお、普通にしていられ、世界からも尊敬を勝ち取れたら見事です。

威勢の良いことを言ってしまいましたが、もちろんお金も大事ではあります(笑)。

SD100514 碧洲齋