不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

秩父巡礼 平成三十年 第五回 結願

今回の巡礼は結願、つまり最後ということでかなり余裕があり、相棒ロシア人のたっての希望で蒸気機関車に乗って現地まで行くことにしました。
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秩父鉄道では毎日1往復、熊谷駅から三峰口駅までSLが走っています。ちなみにこの秩父鉄道のSLが都心からは一番近いSLだそうです。しかし今回の予定は8月13日と14日、かなりの混雑が予想されたので指定席の予約ができる1ヶ月前に速攻予約を入れました。幸いにもかなり早かったようで1号車のほぼ最初の方に席を確保できました。 蒸気機関車というのは格別です。その存在感たるや電車の比ではありません。むろんエネルギー効率や扱いを考えると電車の方が遥かに良いのでしょうが、あの人気ぶりはやはり人々に何かを与えるだけの力があると思います。銀河鉄道999が流行った理由も頷けます。 今回は機関車のすぐ後ろだったので煙の流れ方がよく見えました。・・・沿線沿いの住民は納得しているんでしょうか。1日一往復とは言え、蒸気機関車ですからそれはもうもうたる黒煙が出ます。まあ、1往復ですからそれ程深刻な被害ではないのかも知れませんが。 SLが通る度に沿線の人たちは老若男女、皆目を輝かせて写真を撮ったり手を振っていました。 御花畑駅に12時過ぎに着いて、徒歩で西武秩父駅まで。駅で昼食を食べてからバス停にてバスを待ちましたが駅周辺は既に曇り始めてゴロゴロ鳴っていました。SLからの景色はまずまず晴れていましたが・・・。 バスに乗って前回の場所からほど近い泉田バス停にて降車。ギリギリ雨具を使わずに済みそうな塩梅で歩き始めました。今回初日は3.5キロ程度。途中、化石採掘場としてゆうめいな「ようばけ」を右に見ながら北上、途中神社で参拝してからあっけなく33番札所に到着、普通に御朱印をもらい読経してしばし写真を撮ってから出立。といっても泊まる宿はそこから400メートル程度のところです。 2年ぐらい前にも投宿した「ばいえる」という洋風のホテルですが、我々のような巡礼者にはチト違和感ありすぎでおかしかったのなんのって(笑) しばらく休んでから河原で軽く稽古。その後にホテルの近所にあった臨済宗建長寺派の寺に行って見たが・・・ちょっと残念でした。寺格、寺の大きさでそこの住職の人徳は分かりませんが、寺の佇まいというか雰囲気では間違いなくその寺の住職の志、仏教に対する志は分かるものです。そういう意味ではその寺は最近訪れた寺の中では一番残念なレベルでした。
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夕食は大変素晴らしかった。量で言えばギリ完食できたというレベル。 その後、付属施設の温泉に行きました。ホテルの中にも温泉はありますが、隣に日帰り温泉施設があり、そちらの方が素晴らしい。ホテル滞在客は無料で利用できます。 温泉を堪能してから部屋に戻り、早めに寝ました。部屋にいるときは色々話します。今回も将来の展望など色々と(笑) それにしても日頃エアコンを使わないので慣れない涼しさと乾燥には参った。逆に寝苦しいのです。あと地域的に窓を開けた方が涼しかったというのもあります。 投宿後寝る前までに2炷坐る。 朝も出立前までに2炷坐りました。朝食の量は丁度よく美味しかった。 翌朝14日はなかなか良く晴れていました。やや雲が多いと言うだけで基本青空が見える晴れ。 景色を堪能しながら巡礼道である参道の入口の馬頭観音堂まで。昨日と同じ3キロ程度。お堂で一休みしてから林道に入る。途中古道を経由してまた林道に戻り、今度は破風山に入る登山道に到る。入口には水潜寺の案内の他、クマが出るとかいうのがありました(笑)
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登山道は明らかにあまり使われていない。まあ、そもそも徒歩で巡礼している人をほとんど見ないのでそれは想像通りかと。一応辛うじて通れる程度には補修はしてありました。 入口からしばらくキツい上りが断続的に続いたあとに割に平坦な山道が続き、立札峠手前でまた少しキツくなる。それを登ると立札峠になりあとは下りだけ。下るにつれて道は分かりにくくはなかったものの、道だか沢だかよく分からない部分もあったり。
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ずっと下っていくと最後の寺、34番札所の水潜寺が見えました。晴れていたせいもあってまあまあ感動しました。寺務のおばあちゃんも大変親切で嬉しかったです。先に御朱印を頂き、少し話してから最後の読経。寺はきれいに掃き清めてあり、寺の佇まいも素晴らしく。水潜寺というだけあって山からの清水も美味しく頂きました。 しばらく休んだ後、時間があるということで少し自動車道を上がったところにある「秩父華厳の滝」なる場所に行ってみようという事になり歩きました。徒歩1.3キロ。○○銀座みたいな、小さな滝だと思っていましたが、以外に大きくて驚きました。確かに華厳の滝を謳っても良さそうな感じです。日本在住と思われる東南アジア系の家族連れもいたり、なかなかに素晴らしいところでした。穴場だと思います。ただ滝上に登ったところにあった大きなお不動様、卒業記念制作っぽいような出来でしたが、まあ、ご愛敬ということで。 その後折り返して水潜寺を過ぎ、満願の湯まで歩きましたが、あいにく付いた時点でバスが来るまで20分、温泉は諦めました。 その後はバスにて皆野駅まで。そこから帰路に就きました。
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足掛け5年もかかりましたが、通しでしたら多分5日もあれば回れる距離です。秩父巡礼は34ヶ寺で100キロ、四国遍路に較べたら全然楽です。しかも都心からも近いので是非とも多くの人に参加して欲しいところです。昨今は徒歩で巡礼する人はごくごく少数のようです。私もこの5年間で同じく徒歩をしていた人は本当に数人、しかも秩父市街地のみでした。いい季節で、数回に分けたらよほどご年配の方か小さな子供でもない限りは100キロの巡礼は決して辛いものではないと思います。あるいは市街地だけでも徒歩で巡礼しても良いかも知れません。秩父巡礼は34ヶ寺のうち、1-29番札所までがおよそ50キロ程度、29-34番札所が50キロあります。29番から先は確かに間隔が大変長くて大変かもしれませんが、市街地でしたら楽しめると思います。 個人的に寺を巡って御朱印を頂くだけでも有り難いことですが、できたら本尊に手を合わせお参りをしていただけたらと思います。巡礼はスタンプラリーではないですから。正装まではする必要はないかも知れませんが、やはり各寺院の本尊には手を合わせた方がより功徳があるものです。 巡礼中は意外にほとんど言葉を交わしません。ずっと黙々と歩くことが多かったように思います。禅でも経行と言って歩く禅があります。意外にも歩きながらの禅は禅定に入りやすいと感じます。 今回やっと終わったばかりでしたが、また折をみて回ってみたいと既に心に決めています。今度は息子も連れて行きたいですね。 平成三十年葉月十六日 不動庵 碧洲齋