不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

成道会

成道会、とはお釈迦様が意を決してブッダガヤの菩提樹の下で12月1日から7日まで坐禅をして、8日目の朝、明けの明星を見た時に偉大なる悟りを開かれたことを祝う日です。
その追体験をするという事で禅宗の各僧堂では毎朝2時から夜の12時まで、坐禅と参禅だけをするという、僧堂の修行で最も厳しい修行期間です。命取りの接心とか言われます。

そういうことで毎年、私が通う長徳寺では12月1日から7日まで、連続して座禅会が行われます。
時間は19時から20時まで、その後提唱や茶礼があり21時頃に散会になります。
僧堂よりは遥かに楽ですが、普通の在家にとって毎日2炷1時間の坐禅を7日間というのはなかなか大変だと思います。
私は通常の坐禅でも1時間前から随意坐で坐りますから2時間になります。

たかだかその程度坐ったからと言って何か悟るわけではありませんが、これだけ集中して坐ると禅定がかなり深くなるのは事実です。
禅定が深くなる、というのはなかなか言い表しがたい感覚ですが、強いて言えば彼我の境界線、自他の境界線、自分と世界の境界線が薄れるような感覚ではないかと思います。
薄れてどうなるのかというと、最近の言葉で言えばワンネス(The oneness)に触れることだと思っています。
昔はそれを仏と言ったり神と言ったりしていたと思いますが、要は自己などと言うものは本来なく、そう思っているものはこの宇宙を充たしている「そのもの」のごく一部であることを再確認する作業と言えるかもしれません。私の浅い経験では。

ただ坐って何の意味があるのか、と言う人もいると思いますが、逆にこの時代、インターネットを通じて世界の裏側で起こっていることも手に取るように知ることができてしまう現代に於いて、外側ではなく自己の内側を静かに見つめるという時間はかなり希少ではないかと思う次第です。

この期間、毎年老師が提唱するのは「臘八示衆」という書籍です。これは臨済宗中興の祖、白隠慧鶴禅師が在家のために書かれた本ですが、坐禅について基本からその哲学までなかなかうまくまとめられていると思う次第です。ネット上にもあまり出てないようですね。

臘八坐禅会最終日、提唱が終わると長徳寺ではおでんが振る舞われます。お酒なども供されます(笑)
私はお酒は飲みませんので、おでんは遠慮なく結構食べます(笑)
今年は特においしかった。まあ、これが楽しみで毎年頑張っているというのはあります(笑)

年内の坐禅会はこの臘八坐禅会を以て終わりになります。

臨済宗建長寺派大智山長徳禅寺
〒333-0866 埼玉県川口市芝6303
048-266-1465
坐禅会
毎月第1.2日曜日 6時~8時頃まで
提唱・茶礼あり
費用:なし
*ただし1月は第1週は休み、8月は第2週が休み。
*12月は1日~7日まで19時~21時頃まで、朝の坐禅会はなし。
*駐車場あり。
*坐禅会に興味があっても坐禅のやり方が分からない方はお気兼ねなくご連絡ください。


令和四年臘月八日
不動庵 碧洲齋

坐禅が行われる禅堂、ここまでの環境は滅多にありません。

臘八坐禅会最終日に振る舞われるおでん、雲水さんたちが作ってくれます。大変おいしいです。