不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

上州を訪れる

昨日は久し振りに車で遠出しました。
目的地は群馬県と栃木県の辺り。1つは私がいつも買い求めている作務衣などの和装専門店、もう一つはちょっと変わった料理を出す和食店、もう一つはお寺。
昨日レンタカーを借りたのですが、先に家族全員で今年最後の墓参りを行い、その後1人で出立。


前回も和装店には行ったことがあるのでカーナビでルートの設定をしなければよかったのですが、何となく設定をして30分後にはうんざり。私的には感傷にでも浸りながら(笑)音楽を聴きたかったのですが、ひっきりなしにガイダンスの音声が流れてくるので気分を害します。後期高齢者のドライバーならいざ知らず、一体全体あそこまで事細かに案内する必要があるのでしょうか?途中でカーナビのガイダンスを止めて、結局再設定したのは高速道路を降りてからでした。自慢ではないですが、私は一度行ったところはほぼ忘れませんし、初めての場所でもよほど込み入ってなければある程度地図を見ればナビがなくても行けます。
ナビに頼りすぎると本当に頭が悪くなりそうで正直言うと少し嫌悪感があります。
とは言え、今時のオーディオはBluetoothでスマホと接続できるのでこれはかなり便利と言えます。もっとも実は私は車内で音楽を聴くことはそれほど多くはありませんが。長距離の時だけです。


最初の目的地は和食の店で、詳細は以下の通り。

新田乃庄寒山亭
https://nittanosho.net/


以前テレビだったかネットだったかでこの店の名物「法燈」に大変関心を持ち、行ってみたくなった次第。この「法燈」は山梨県や埼玉県北部などでよく食べられている、いわゆる「ほうとう」ですが、普通のほうとうよりもずいぶん幅が広く、そして最大の特徴はその幅広の麺になんと「般若心経」が書かれていること(笑) 仏教にあまり関心がない人には大したことないかも知れませんが、私は毎日読経してますのでそれはもう関心はあります(笑) 味は普通のほうとうでしたが、やはりありがたく感じた次第。で、帰路に土産用の法燈を買おうと思いましたが店頭には2箱しかありません、店員に尋ねると逆にこの時間で2個も残っているのは珍しいとか(笑) この法燈は手作りなので1日で作れる量にかなり限りがあり、店で出す分を除くとお土産用にできるのは僅かなのだそうです。ということで2個でもラッキーという事でしょうか。あまり安くはありませんでしたが、迷わず2つとも買い求めました。1つは自宅用、1つは禅の師匠にお歳暮として。あと幾つかあったら仏教関連の友人たちに配ったのですが残念。

ほうとうに般若心経が書かれているのが分かると思います。

その次、和装専門店は・・・私の勘違いで日曜日は閉店でした(笑) 残念。

 

最後は県境を越えて足利市になるのですが、足利市の中でもなかなかの景勝地として知られている、臨済宗妙心寺派行道山浄因寺に足を運びました。景勝地で臨済宗の寺だったらぜひとも行ってみたいと思っていました。大変な田舎道(丁度和装店から行くと細い林道を越えていかねばならなかった)で、結構深山の山中にあります。道路は細いのですが、最後の数百メートルは軽自動車でも冷や汗ものの道路でした。
とはいえ山腹の専用駐車場には10数台の車が止まっていて、人気の程が窺えました。
浄因寺は現在は臨済宗の寺院ですが、創建713年、行基上人によるものとされています。当時は他宗で、幾つか変遷してから臨済宗になりました。

ここで1つ失敗。私はちょっと登っていけると思ったのですが、結果から言えば割とキツイ行程でした。軽登山の装備が望ましいです。しかも岩場とかもあります。子供などもいましたのでまあちょっとしたハイキングという感じです。階段がたくさんありますのでそれが結構キツかった。
本堂に至るまであちこちに石仏があり趣があります。ただ時期が時期なので14時過ぎだと若干日が傾きかけていました。
本堂はそれほど荘厳なものではありませんでした。昔風の大農家の一軒家という感じ。残念ながら無住寺のようです。ちょっとここに住むのは勇気が要りそうです。ただし駐車場には今は動いていなさそうな軽便鉄道のようなものがあったので、恐らく昔はこれを使って駐車場から上まで上がったのでしょう。久々に不動寺よりも山奥の寺を見ました(笑)

境内から見渡すと確かに景勝地に相応しい気がします。一番驚いたのは岩の上に立てられている茶室なのか何なのか、説明文には「清心亭」とある建物です。その岩自体多分平らではなく、実際その清心亭の隅っこが岩からかなりはみ出ていました(笑)更にその清心亭にアクセスするには崖を挟んで反対側にある石の階段を上り、掛けに渡している橋を渡るというもの。葛飾北斎もこの寺を描いたことがあるそうです。残念ながら昨日は清心亭まで行けませんでした。
境内は岩山の山間にある感じです。不動寺もそうですが、私はこういう寺が好きです。

で、境内は中腹ですが、そこから更に上に登れるようになっていたのでせっかくなので登りました。北東側の岩の尾根に登ると多くの石仏が安置されていて、中でも一番有名なのが釈迦涅槃像らしいです。といってもその大きさは40センチ足らずでよく見ないと何だか分からないものでした(笑) しかしそこからの景色は素晴らしかった。
さらにそこから500メートル反対側の登山道を上ると見晴台があるということで頑張って登りました。これまたキツかった(笑) しかし道の半分は尾根沿いなので助かります。あいにくと紅葉も終わりに近かったのですが、ここならどのシーズンでもいいと思います。
見晴台の景色は素晴らしかった。ヒーヒー言いながら来た甲斐ありました。赤城山と榛名山が見えて、更に遠くに富士山が見えました。
しばらくそこで休んでから日が傾いてきたのでやや急いで下山。駐車場の車も4.5台になっていました。帰路は一番遭遇したくなかった対向車と一番幅が狭いところで出遭ってしまいました。退避スペースはあったものの、反対側が沢になっていたのでかなり冷や汗ものでした。

この浄因寺にはまた折を見て行ってみたいと思います。

令和四年霜月二十八日
不動庵 碧洲齋

駐車場から境内まであちこちに石仏があります。

山門、山城の門のようにも思えるほど

境内に向う途中から見えた境内

境内の様子、鐘楼の鐘は小さかったのですがあいにく突くことはできませんでした。

これが清心亭、左半分が浮いてます(笑) 入口は右側の橋を渡るようです(笑)

本堂裏手上の方にお堂がありましたが何のお堂なのかは分かりませんでした。位置的に開山堂でしょうか?

寝釈迦像と多くの石仏がある岩の尾根。寝釈迦は左側の横たわっているように見える像です

見晴台からの展望。赤城山と榛名山が見えました。また左端遠くに富士山も少し見えました