不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

入門三十六年目

1986年2月22日は私が武神館に入門した日です。
それから早36年が過ぎました。当時と比べて格段に強くなった感じもしますが、同じぐらいに実は全然進歩していないのではないかと思うこともよくあります。(笑)
今でもこの日は毎年我が志を革めるよう心掛けています。
 
入門した日は今でもよく覚えています。その日はフィリピンでマルコス大統領の不正選挙に多くの人が声を上げフィリピン大統領官邸に押しかけて、エドゥサ革命が行われていた日でした。結果、アキノさんが大統領になりました。マルコス、腐りきっているなと思ったものです。今のフィリピンはあの中国にも譲歩せず、なかなか強気だなと思います。
 
入門する3日前には関東南部で大雪が降り、都心でも20センチ以上の雪が降りました。私は当時自転車通学でしたがそれでも一応登校した記憶があり、つくづくこんな理不尽なことがあっていいものかと思ったものです。当日はまだ土曜午前の授業があった時代でしたから、かなりの積雪で学校から苦労して帰宅して、それから春日部まで行くというのは結構至難の業でした。
 
稽古は17時からでしたが、私は1時間以上も早く着いてしまいました。春日部武道館周辺にもまだ雪がかなり残っていて、その白さと冷たさがまるでつい先日のように感じます。
暗くなってきた17時少し前に油と鉄粉が付いた工場の作業着を着た中年男性がにこやかにやって来て「ああ、あなたが碧洲齋さんですね」と声を掛けてくれたので一瞬頭がフリーズ。私がイメージしていた「忍び」とはあまりにもかけ離れていたのでいうべき声を失った感じでした。しかし先生は「忍者は忍者らしく見えないことが重要なんですね」という言葉で私の人生が決まった感じがしたのも事実です。そしてこの人が私の生涯に亘る師匠だと悟りました。こういう場面では本当に脳内でBGMが流れるんですよ(笑) その後、当時野田にあった先生のご自宅にあった道場にも連れて行ってもらい、先生が棒手裏剣を投げながら色々話してくれました。古畳に刺さった手裏剣がなかなか抜けず、大変感銘を受けたものでした。
以後現在に至るまで36年間、ずっと師事しています。
 
2月22日は猫の日三重県伊賀市では忍者の日だそうですが、前者が制定されたのは1987年、私の入門の翌年、後者が制定されたのは2015年、割と最近です。武神館の入門が忍者の日とは冗談みたいですがあくまで偶然です(笑) あ、竹島の日でもありますね。
 
武歴の長さはあまり意味がありません。どれだけ充実させたかが重要です。今後どのくらい密度の高いものにできるかどうか、自分に課せられた課題です。毎年この日は我が志を革めることにしています。
 
令和四年如月二十二日
武神館不動庵道場
不動庵 碧洲齋

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入門して間もない頃の私と先生。