不動庵 碧眼録

日々想うままに徒然と綴っております。

戦争のリアリティー

「戦争体験者の話を聞く」今となってはこれは「戦時中に生存していた人たちの体験談を聞く」ぐらいの意味になっているように思います。先の大戦当時に実戦に参加した人が20歳だったとしたら、現在は96歳、士官学校などを出て、数年従軍したというレベルの士官クラスだったら多分100歳より若い人はいないのではないでしょうか。

つまり現代日本に於いて、本当の意味で戦争を体験した人に会うことは極めて難しくなってきました。私ぐらいの世代で言えばいつの間にか従軍体験者がいなくなってしまった、そんな感じです。
私の親族には徴兵、あるいは志願して戦場に行って帰ってきたという人がいませんでした。母方の祖父は戦死、父方の叔父がそれぞれ士官学校在学中に終戦と、憲兵隊士官で終戦という感じでした。
故に私は機会があるとよく老人たちから戦時中の話などを聞いたものです。

昨今危惧を覚えることがあります。どなたかが言っていたことだったと思いますが、人は戦争から距離的時間的に遠ざかるほど、好戦的になるという事。私は保守系を自負してますが、限りなく中立に近い方です。現在の状況を鑑みて軍備増強も止むなしと思いますがかなり反戦的でもあります。理由は簡単で現代では例えば経済制裁を加えるだけでもかなり手痛い損害を与えることができ、しかも戦争は世界的信用を失墜させる可能性や事後の経済活動の在り方を考えると、本気で火蓋を切る国がどれ程あるのか疑問です。特に中興国や先進国で。まあ、アメリカなどは割と好き放題やってますが、それでも世界世論を無視したら大変です。

実は私は米国やその他の国でも先の大戦の従軍体験者と何度か話したことがあります。朝鮮戦争ベトナム戦争湾岸戦争はもちろん、中東の各地域での従軍、中南米の紛争などに従軍した人とも話を聞いたことがあります。ドイツ武友の1人は元警察官で、中東で国連平和維持活動をしていたときに銃撃を受けて、右胸を銃で撃たれた経験がありました。銃創なるものは初めて見ましたが、ホントにケンシロウの胸の傷のような形の傷だったので驚きました。

体験談はもう長きに亘って聞いています。現代の戦争に従軍している人から戦争体験記を聞く、他の先進諸国では珍しいと言うほどのこともないことであるということに、多分多くの日本人は驚くかも知れません。そう、海外では今でも戦争に参加している人がいます。
ちなみに私はオレゴンにいたとき、ランボーみたいな生活をしている人とも少し話したことがあります。ホントに山奥のトレーラーハウスにベトナム帰還兵で厭世的になってしまったか、精神的におかしくなってしまったため、離れたところで集団で住んでいたりするんです。もういい歳のおじさんが多かったですけどね。留学して二人目のルームメイトのお父さんもベトナム戦争に従軍してました。家に遊びに行った折、ガレージの工具箱の中にあった銃剣を発見して物珍しそうに私が見ていると、言葉少なげに「ああ、昔行ったんだよ」と寂しそうな遠い目をして言ったのがとても印象的でした。

私には本名の他にほぼ本名に準じる英名を持っています。Bruceと言います(笑) 30年近く前に一緒に稽古をしていたアメリカ人に「お前はブルース・リーに似ているからオレはお前をブルースと呼ぶ」とニコリともせずに言ってからそうなりました(笑) その方はなんとグリーンベレーの隊員でした。彼は間もなく除隊して予備役になり、ビジネスをはじめました。同門には軍人や警察官が多く、10代の頃からそういう大人と稽古をしてきたので、まあ、大抵のことでは驚かなくなりましたね。特に対人関係の脅迫というのか脅しには全然恐れなくなりました。アフガンから満期除隊で帰国途中に日本で稽古する、という兵士らの雰囲気は本当に恐ろしいものがあります。ま、ここ10数年は軍人や警察官というのは減ってきましたが。

そういう方々が口を揃えて言うのは「戦争ほど酷いものはない」です。カッコイイ活躍をしたり、名誉ある行動を起こしてどうにかなる、というのはホントにドラマで、実際はその日1日を何とかやっとしのいでいく、それが精一杯だとか。後味が悪いこともたくさんあって嫌な事が多かったと言う事です。日本で日本人の戦争体験者から話を聞くというのは、戦後何十年も過ぎてからの話、体験には色々フィルターやバイアスが掛かってしまっています。綺麗に整理された話が大半です。そういう意味で日本人が生の戦争体験を聞く機会というのはほぼ皆無だと言っていいでしょう。そういう社会に生きているとある意味戦争に対して好戦的になってしまうのは致し方ないと言いたいところですが、そこは日本民族としてもう少し賢くなってもらいたいと思います。

殺されても殺さない、というレベルの反戦主義者になれというわけではもちろんありません。ましてや今の自衛隊の在り方がいいとも思っていません。ただ実際に戦火を開かねばならなくなったとき、すでに76年も戦争がない国の国民の心構えというか決意を、今ひとつ点検してみてはいかがかと思う次第です。

 

令和参年霜月二十五日

武神館 不動庵道場

不動庵 碧洲齋

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《お知らせ》

武神館 不動庵道場 開庵
【日時】2022年1月8日土曜日、13:00-15:00
【場所】谷塚上町会館:草加市谷塚上町231-1
【アクセス】東武スカイツリー線 竹ノ塚駅西口
東武バス 竹04/竹05にて約10分、又は竹06にて約15分。
バス停「谷塚上町」降りてすぐ。
駐車場あり。
入門希望者・興味ある方はご連絡ください。