不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

76年の節目

本日は9月2日、日本では先の大戦が終わった日は昭和天皇玉音放送が流された8月15日としてますが、連合国のほとんどの国では東京湾にやって来た米戦艦ミズーリ号の艦上にて降伏文書調印に署名された本日9月2日を以て大戦終結としています。海外では戦勝記念日といわれることが多いようです。日本では終戦記念日、なかなか面白い対比ですね。

明治維新から現在まで、日本が関わった戦争は全部で4つ(数え方にもよりますが)。最初が日清戦争、次が日露戦争、そして第1次世界大戦、最後がこの第2次世界大戦です。4回参戦して負けたのは1回ですから勝率で言えば悪くないはずです(笑) 単独対戦だと第1次世界大戦が消えますが、ご存じの通り清帝国ロシア帝国も、そしてアメリカ合衆国も日本を遥かに凌駕する国でした。その中でアメリカにだけ負けたと言う事です。惜しいと言いたいところですが、日露戦争の卓越した外交政策、情報戦、経済政策、戦略、戦術と較べると、第2次世界大戦はまるで先祖返りでもしたかのように(いえ、先祖返りと言うよりは外道に外れたと言うべきでしょうか)常識的に考えられないような愚かな戦術を採用して、しかも原子爆弾を2発も落とされてから降伏したという、何とも腹立たしい負け方でした。軍人の皆さんは日清日露の戦いで傲慢になってませんでしたかね。
ただ、恥じることはありません。アメリカなんか自国よりもずっと小さなベトナムアフガニスタンでも敗退してますから。

近代に入ってから、基本的には経済的に国力が大きい国が勝ちます。故に日本の在り方はかなり例外です。というか19世紀目線で考えればアジアで開国したばかりで非基督教でずっと独立を保っているということ事態が人類史上例外と言えます。その上、人類史上最古の国家ですからかなりユニークな存在であることは疑いありません。

ご存じでしょうか、明治元年から第2次世界大戦終結まで、丁度76年、そしてその終戦から今年までがやはり同じ76年になります。戦後間もなくまで、江戸時代生まれの方がまだ存命だったということですね。何か不思議な感じがしますが、江戸時代生まれの方からしてみたら、それはもう激動なんて言葉が生易しく聞こえるほどだったことでしょう。妻の祖父母が数年前に100歳で他界したのですが、産まれたのが大正時代、当時50歳ぐらいよりも上の方は皆、恐るべき事に江戸時代生まれです(笑) で、その感想を聞いてみたことがあります。祖父母が子供の頃の老人たち、つまり江戸時代人は全く以て別格の人たちだったようです。忍耐強さ、優雅さ、勤勉さ、厳格さ、すべてにおいて大正時代人とは比較にならないほどだったとのことでした。大正デモクラシーに世間が湧いていた時代、江戸時代の人たちはどう感じたのでしょうか。

明治維新先の大戦の敗戦も日本人のアイデンティティーを大きく揺るがす事件でした。この2つは間違いなく日本人の考え方を根底から揺るがしたと思います。しかしそれでも根底が断絶しなかったのはさすがだとは思いますが(笑) そして去年と今年、コロナ禍も十分に今までの在り方を再考させられる事件だったと思います。世界での日本の在り方、日本社会の在り方など、今後色々影響を与えていくことだと思います。
また戦後76年間、日本が戦争に関与しなかったことはこれはかなり素晴らしいことだと思います。これはまず誇れます。ただ今後、あまりがんじがらめにし過ぎた自衛隊にはもっと柔軟に行動してもらわないと、日本の安全が守られないような気がします。

今朝、ふとそのように思った次第でした。

令和三年文月二日
武神館 不動庵道場
不動庵 碧洲齋

 

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