不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

夢追う子

昨日は久し振りに都内に出ました。午後昼間は幾つかの用事を済ませてから、メインの用事だったのが日本舞踊公演の観賞。川越に住む日本舞踊の先生をしている友人が出演するというので参りました。実は一昨年にも一度鑑賞する機会があり、今回は2回目になります。

主催は日本舞踊協会で、その下に幾つかの流派が合同で講演をするという事になります。で、今回のものは前回と異なり、伝統的な演舞ではなく、いわゆる創作演舞というものになると思います。なので日本舞踊を全く知らない人でも楽しめるように演出されていました。ちなみに構成演出を行ったのは松本幸四郎さん、本人は実際に舞台にも出てましたが初めて拝見しました(笑)あ、松本幸四郎と言っても2018年に襲名した10代目の方です。カッコよかったですね。日本舞踊界のプリンスって感じでしょうか(笑)
今回出演者の数は総勢46名、日本舞踊界でどれだけの人がいるのか分かりませんが、この46名が各流派の精鋭揃いであることは想像に難くありません。
ちなみに私の友人は3歳から始めて舞踊歴30数年という超ベテランの先生、私の武芸歴とほぼ互角の長さです。前のブログにも書きましたが立ち居振る舞いの質が違うのです。それ故に御友誼頂いてます。

会場は観客50%に抑えているようで、前回のようにびっしりという感じではありませんでした。ただ私の両脇には人がいましたが(笑) 前回は少し遠かったのでオペラグラスを持参しましたが今回はどうしても見つからず、落胆していましたが前から4列目という至近距離で鑑賞できたため不要でした。

今回の公演のテーマは「夢を叶える為に突き進むダンスパフォーマンス」だそうです。演出や構成は現代的で、伝統的な感じではありませんが、舞踊や音楽には日本の伝統が大変絶妙に散りばめられていました。(でも音楽には幾つかのイギリス音楽が使われていたのが大変興味深かった)昨今の日本舞踊ももっと敷居を下げて、多くの人に知ってもらえるよう、色々工夫を重ねているようです。実際、鑑賞者を見渡すと、もちろん着物やスーツで来ている方もいましたが、半分ぐらいは普段着の、しかも意外に若い人も来ていたのは驚きです。日本舞踊協会の思惑が功を奏しているのでしょうか。この辺りは古武道なども似たような課題がありますね。古武道をやりたいという人が少なすぎますので他人事のようには思えません。もっともその中で当流は一番柔軟に変化をしていると自負してますが。私も体の動きに関しては素人ではないので色々注意深く拝見してましたが、さすがにアイドルのパフォーマンスなどとは質が違いました。見る人が違うと分かります、たぶん。

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写真はネットから

私は出演している友人を日頃大変高く評価しているのですが、今回の公演でショックだったのが30年以上も日本舞踊に打ち込んできた彼女と同じ技量の人が他にも大勢いたこと。もちろん彼女以上に上手い人もいました。日本舞踊はどんな稽古をしているのか分かりませんが、同じ技量の人が多くいたら、それはもう切磋琢磨でしょうね。
武芸と違って日本舞踊は見ている人が判断します。ある意味分かりやすい。武芸もそう思われがちですが、当事者と第三者とでは評価が違うのです。傍から見て華麗な技、優雅な技が必ずしも優れた技ではありません。正直言うと泥臭い技、何をしているのかよく分からない技の方が優れた技が多いぐらいです。だから傍から見ていた人と実際に技を掛けられた人の体感はかなり違います。その辺りが古武道の難しいところではないでしょうか。

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友人は私よりも一回り以上若いのですが、今回の公演を拝見して改めて尊敬の念が高まりました(笑)同じ日本伝統芸能を学んでいる同志だと思っていますが、私の志なんて人様に誇れるような高いものではないですからね。
また機会があったらぜひとも鑑賞に参りたいところです。

令和参年水無月五日
武神館 不動庵道場
不動庵 碧洲齋

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