不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

人種差別で目覚めたこと 三

昨今ネット上にはいわゆるネトウヨと呼ばれる保守層が結構います。私も保守だと自認していますが、私の祖国愛は実際の体験に基づくものであり、世界と比較しての話です。また世界数十ヶ国の武友たちと交流をして得た教訓です。

もしかしたら日本人は日本人の矜恃、誇りを潜在意識下に置いているのかも知れません。アメリカ人など一部の国でしているようなプロパガンダやキャンペーンによって愛国心を掻き立てることは、古来より日本ではあまり一般的ではありません。先の大戦のことがクローズアップされるのは逆に言えば他の如何なる時代でもそういうことがほとんど無かったという事です。そもそも日本では近代的中央集権国家ができてからまだたったの150年です。それ以前は日本人の多くは各藩が国の全てでした。たぶんぼんやりと集団意識はあったのだろうという程度ではなかったでしょうか。さりとて全くなかったわけではなく、それなりに強いものだったと私は思います。

ジワジワと有史以前から、この国に対する気持ちがここに住んでいる人に沁みてきた、そう感じます。世界には民族ごとごっそりと移動することもありますし、あるいは移民に活発なところもあります。日本は不思議とそれがありません。江戸初期までは東南アジア圏までネットワークを広げたことはありましたし、先の大戦までは太平洋や中国大陸に大挙した時代もありました。また大戦後間もない頃まで結構な数の移民者が海外に出ましたが、欧州などの国に較べると微々たる割合です。基本日本人は日本という土地と不可分である、そういう気がします。土地、民、皇室が三位一体というのかどうか。良くも悪くもそれが今の日本を作り上げています。

話が大きくブレまくってしまいましたが、そういうバックグラウンドを持った日本人が差別を受けると「ああ仕方ないな」とはあまり思えないのです。実際、現在の国際社会でガチで日本人が差別されることは大変少ない。街角で差別的発言をされることはありますが、国として蔑まされたことは戦後間もない頃を除いては無いと思います。妬ましく思われたり、憧れを持たれたことの方が多いはずです。実際多くの発展途上国からはほぼ敬意を持たれています。有色人種の国家として経済的にもっとも発展して(今は中国のその座を奪われてしまいましたが)、人道的にも戦後80年近く、他国に対して一度も戦火を開いたことがなく、万事に控えめ、その国民性も非難されたこともあまり聞きません。

日本人は日本人が差別されたら、日本人の為に矜恃を守るだけではだめだというのが、突然ですが結論です(笑) 全ての有色人種の筆頭として(最低でもアジア人の筆頭でも良いですが)、尊厳を守らないと十分ではないと、ここ20年ぐらい思っています。同じアジア人としてかなり軽蔑されるようなことをしている国もあります。それでも同じアジア人として日本人は「日本人を差別するな、他の国は知らん」と言ってはいけないほどに、国家としてステータスがあります。歴史的にも経済的にも。畏れ多いことながら上皇陛下や今上陛下も同じようにお考えなのではないかといつも思っています。日本人は日本人として誇りある言動をするだけではなく、全ての有色人種にとって、決して失望させてはならず、希望を与えるような、そんな存在でありたいと何時も願っています。

すみません、色々書き立てたらまとまらなくなりました(笑) 最後を言いたかっただけです。

令和参年水無月五日
武神館 不動庵道場
不動庵 碧洲齋

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