不動庵 碧眼録

日々想うままに徒然と綴っております。

副業と体術と

武芸をしている方々は皆同じだと思いますが、日常他の人の姿を見るとその人の姿勢や動き方にいちいち注意を払います。ほとんど病気です(笑)
武芸と言わず肉体労働を長年やっている方や60歳以上ぐらいの年配の方に較べて、最近の若い人たちの姿勢や体の遣い方はかなりの頻度で開いた口が塞がらないレベルが多い。
スマホ首と言うのでしょうか、首が前につんのめっている人をよく見かけますが、何か異星人のように思えて仕方ありません。同じぐらいスマホをしながら歩き、自転車、バイク、自動車というのは日常茶飯事。いびつな動きをしていると確実にいびつな姿勢になってきます。
通常、首の重さは体重の1割と言われています。私の体重は70キロぐらいですから頭の重さは7キロ、家にあるダンベルの重さが5キロですからそれより更に2キロも思い計算になりますが、もしそんな重量が体幹の定める正しい重量配分に則っていない場所に位置していたらと思うとゾッとします。現代人の多くはそんな感じです。それはもう接骨院を始め、医療分野などが儲かってくるはずです(笑)

仕事でニュージーランドに2回ほど行ったことがあります。街の風景を観察していてなかなか感心したのは「歩きスマホをしている人がほぼいない」。いや、いたかも知れませんがほとんど見かけませんでした。自転車を使ったり徒歩で移動していた人も多かった。立っているときの姿勢も惚れ惚れするような人が多かったのを良く覚えていますが、それと同国がスポーツ大国であることは無関係ではないでしょう。ニュージーランド人はかなり健康的です。

私が勤務している会社はエラく給与が低く、そこに来てコロナの為残業禁止になり、更にボーナス半分カットという、目も当てられない状況になっています(笑) ということで夜3時間ほど副業をしてます。ヤマト運輸の集積所(ベースと呼ばれている)ですが、巨大な建物に大型トラックがひっきりなしに来て荷物を下ろしたり分別された荷物を載せたりしています。驚いたことに外国人が多い。7割以上は外国人でしょうか。その中で一番多いのはベトナム人です。みんな若い。

彼らをかれこれ1年以上見てきていますが、なかなか興味深いものがあります。仕事に対する誠実さは性格によるのでしょうが、体の遣い方が面白い。田舎の農村地帯から来たと想像される若者は重いロールボックスパレットをリズミカルにテキパキと移動させています。そして忍耐力があります。さすがだなと時折感心させられます。翻ってしょっちゅう座り込んだり壁にもたれたり、重いロールボックスパレットを片手で動かそうとして自分が動いてしまったり(笑)、物体において全く非効率な部位を一生懸命押したりして、空回りしている若者もいます。元々体力がなさそうなところに空回りしているわけですからそれはもうクタクタになるはずです。そういう若者たちは大都市から来たと想像します。実際、何人かに出身を尋ねると、ホーチミンハノイが大半でした。その歳になるまで力仕事とかほとんどしたことがなかったんでしょうね。これはベトナム人に限った話ではなく現代の先進国の若者全員に言えることです。

必要に迫られて始めた副業ですが、武芸者だけに転んでもただでは起きません、こういう場所も良い稽古になります。かなり重いロールボックスパレットをどれだけ体術をうまく駆使して効率的に動かせられるか、毎日そんなことばかり考えて仕事をしてます(笑)
一緒に働いている方からの感想ですが、私の作業ぶりを見ていると・・・「楽に動かしているように見える」・・・のだそうです、なので時々誤解される(笑) ただそれほど力を入れて動かしているように思えなくても、動かされたロールボックスパレットはガーっと勢いよく動くのが不思議に見えるとか。全く疲れなくリズミカルに動くとか、そういう違和感があるようです。まあまあ良い稽古場でしょうかね。このロールボックスパレットを多いときは3時間で700個以上も動かします。ほとんど荷物が入っていないパレットもありますが、液体類が入ったものなどはよほど工夫しないと動かないし、一旦動き出すと今度は止まりません(笑) だから武芸で鍛えた体術が役に立ちます。如何なる場所、如何なる時も精進工夫が肝要かと。

重たいものを持たない現代人、肉体を十全に使うことが少なくなった現代人は体を退化させていますが、そういう状況で「昔の伝書」を見ても、恐らく重要なものが欠落していると思っています。伝書を書いた人は昔の生活スタイルに基づいた体の動かし方、動かす知恵、技能を持っている次世代の人を想定して書物を書いたはず。江戸時代なら1日10-20キロは普通に歩いているだろうと想定した人に托した伝書です。故に現代人がそれを読んだ場合、書き手が「当たり前だから書かなかった」部分をすっ飛ばして理解している可能性が大です。もしくは書き手の想定外レベルで虚弱な肉体を持った我々が一生懸命読み解こうとしているかもしれません。秘伝として書かれている技のプロセスは、読み手がそういう昔の人の当たり前ベースの身体機能を想定していると・・・思います。
私はそういう辺りにあるだろうギャップをいつも考えて稽古をしています。

令和参年皐月十二日
武神館 不動庵道場
不動庵 碧洲齋

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こんなところで働いてます。私の現場では全部人人力でパレットは動かされています。

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