不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

無意識に意識を張り巡らせる

若い頃は基礎的な鍛錬に汗水垂らしました。もちろんそれは今でもしなければなりませんが(私はかなり怠惰で恐縮ですが)。

ただ初心の頃と違うのはその稽古の質をどこまで押し広げられるかというところです。初めの頃は・・・(イカン、昔過ぎて記憶が・・・(笑))兄弟子たちの動きを可能か限り正確にトレースして、自分なりに模倣して動く。それができて初めて自ら動くのですが、ある意味本当の修業はそこが起点ではないかと考えます。

 

私たちは日々体を動かします。そして幼少期以後、日々生活の中で繰り返し行われる動きに関してはルーティンワーク化されて潜在意識化で無意識に動かすようになります。それは一旦顕在意識から手を離れると、容易には手元には戻りません。そして大人になるとそれらが複雑に絡み合って動くようになりますが、問題はそこです。

武芸に於いて、ある程度技量が上がるとぶつかる問題があります。どんな問題かは言いませんが、それはどんなに鍛錬の時間を上げでもどうにもならないものです。気付きというのか、深化というのか。要するに今まで通りのやり方では決して上達しなくなる壁です。

 

 

その潜在意識にアクセスすることも難しければ、それを改善していくのもまた一苦労。また、一時的に良くしてもそれを日常的に行うのはより難しく。更にアップデートしたそれをまた、潜在意識化に戻してゆくという作業。恐らく優れた武芸者というのはそれができた人たちなのだと思います。

 

ただ逆に言うとこれができるようになれば、悪い意味でよく使われている「道場稽古」から脱することができると言えます、多分。それは人によって色々な方法があると思います。

 

無意識に日々の行いをしていながら、動くときは常に指先つま先に至るまで意識が満ちている、しかしそれをまた意識しない。無意識に意識を張り巡らせる、そんな状態を作り上げられるようになれば、また一段と武芸に磨きが掛かると思います。

 

令和参年卯月十七日

武神館 不動庵道場

不動庵 碧洲齋

 

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