碧呟聲:武術事始め
原始時代から男という生き物は「強さ」に憧れてきた。そしてそれを競ってきた。それは生物学的雄として原始本能に基づく衝動でもある。
時代が下り、もしかした1万年とか5000年とか、そのくらいに人の意識が変わっていた。今までは生まれついて、或いは環境のお陰で力の強い者、早さのある者だけが優位に立っていたのだが、ほんのちょっと楽をして、あるいはショートカットをして強くなりたいと切実に願った怠け者がいたかもしれない。それが武術の事始めではないかと思っている。
ちょっとしたコツ、ちょっとした武器があれば自分よりも遥かに巨体であっても、もしくは複数でも勝つことができる。これが武術発生の根本ではないかと思う次第。
言訳ではないが私も結構怠け者である。創意工夫の上、楽をして強くなれるよういつも色々考えている。そういう工夫をせずに古の技のみを鍛錬したり、単純に長く稽古をするというのは強くなった気がしても実際に強いかどうかは微妙ではないかといつも疑義する。古の技はよくよく熟慮することなしに稽古するは、これほどもったいないものもなく。色々な角度、色々な距離、色々な時間を置いて伝承の技をあらゆる視点から観ることは有意義ではないかと思う次第である。
令和二年正月三日
不動庵 碧洲齋
#武神館 #道場 #入門 #埼玉 #草加