不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

国歌と国家

ここ何年もロシア語の勉強をしてますが一向にはかどらず(笑)

で、数ヶ月前に最近流行の「ロゼッタストーン」を購入してみましたが、あれはとりあえずモチベーションを下げないだけの価値はありそうです。いや、ペーパーワークの勉強よりはずっと面白いです。しかも媒介語を使わずに語学に必要な四つの技能「聞く・話す・読む・書く」が同時に学べるというなかなか画期的なソフト故、今に至って継続してます。

ついでに英語習得時にもやりましたが、その言語の歌を覚える、というのにも取り掛かりました。どの歌にしようか、散々迷った挙げ句、候補を二つに絞りました。一つはアニメ「攻殻機動隊」のオープニング「GHOST IN THE SHELL」、実はこれ、英語とロシア語の構成なんです。歌っていた方はオリガさんというロシア人歌手でしたが去年だったかまだ若いのにガンで亡くなってしまいました。この「GHOST IN THE SHELL」、日本のみならず世界的に知られたタイトルですが・・・そもそも歌そのものが大変難しく、シロウトにはロシア語以前に難しい(笑)

で、もう一つ候補に挙がったのが・・・「ロシア連邦国歌」(笑) ロシア語で書くと「имн Российской Федерации」です。いやいや笑ってはいけません。ユーチューブなどにも幾つものバージョンがありますが、恐ろしく荘厳で美しい曲です。

・・・こっちも歌うのは楽ではありませんが、「GHOST IN THE SHELL」よりは楽そうです。ただロシア人友人に聞くとほとんど歌ったことがないとか。学校の卒業式や入学式で歌ったかどうか、と言うレベル。確かに親しみの持てる国歌とは言い難く(笑) ホントに荘厳すぎてお気楽には歌えない感じです。イメージ的に小学生じゃ歌わないだろうっていう感じです。

おかしな事ですが、メロディー自体は実はソビエト時代の国歌と同じなのです。ソビエト連邦崩壊後に色々考えられたようなのですが、結局元のメロディーが良いだろうとなりました。歌詞は完全に作り直されましたが、作詞者も前作と同じ方によるもの。ロシアにそんな人がいないとは思えないのですがねぇ・・・。

あ、冒頭の2節だけちょろっとご紹介をば。

Россия — священная наша держава,

Россия — любимая наша страна.

日本語に訳すとこうなります。

ロシア、聖なる我らの国よ

ロシア、愛しき我らの国よ

「国」が二つ出てきますね。ロシア語では「держава」と「страна」。

「держава」は「状態; 宝珠; 大国; 天下; 国; 国家」と訳されます。

一方の「страна」は普通に「国」に準じた訳です。

英語だと前者がnationで後者がcountryに該当するようです。

そもそも日本人だと「nation」と「country」の区別が難しく。自然派生で神話の時代から継続している国だからと推察します。

米国や豪州、もしくは革命後に建国された国、人工的に建設された国は「nation」です。そこであえて「country」を使うと「郷土・国土」と政府と切り離した部分を指します。

日本は両者が限りなく近いのでなかなか実感として分からないのかも知れません。この場合、近いというのは別段日本政府のことではなく皇室と日本国土という意味です(笑)。

ロシア国歌でおもしろいと思ったのは、「nation」に該当する「держава」。英訳でも「powerful country」なのですが、要は「大国」という訳語があること。国家イコール大国なんですね。しかも最初のフレーズは「聖なる国」です。日本語で直訳したら「聖なる国家」とか「聖なる大国」です。正直言うと日本人には気持ち悪すぎて反吐が出そうです(笑) ロシア人にとって「聖なる」に「国家」を付随させることは悪くないセンスのようです。とりあえず英国の国歌と日本の次ぐらいに古いデンマークの国歌を調べてみましたが、聖と国家が一緒のフレーズはありませんでした。(余談ですが、さっきデンマーク国歌を調べたのですが、タイトルは「麗しき国」で歌詞はメチャクチャ優雅で驚きました!)

マンパワーホーリーと言うセンス。アメリカに近いのかな。(ごめんなさい、アメリカの国歌ですが、歌詞の優雅さは私的に相当低い評価です) 日本やデンマークの優雅さは他の追従を許さずと言うのはまあ間違いなさそうです。

と、徒然思ったのでした・・・

写真はロシアの冬の景色

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平成二十九年文月二十八日

不動庵 碧洲齋